「……麻衣?」
突然名前を呼ばれ、ビクッと身体が震えた。
ゆっくりと開かれようとしている視界に映らないようにも出来たのにそうしなかったのは、さっきまで恋人の名前を呟いていた涼の口から私の名前が呼ばれたことが単純に嬉しかったから。
お別れを言いたいだけとありがとうを伝えたかったけとどれだけ言い訳を並べても、つまりはただ涼に会いたかっただけの心が露呈する。やっぱりここに居てはダメだ、帰らなきゃ。
「……小林さんは今、職場に行ってるけどすぐ戻ってくるから。あとここに薬もあるから起きられるようになったら飲んで」
この場から立ち去ろうとベッドの側を離れようとしたその時、私の腕を涼が掴む。熱が伝わってしまうほど熱い涼の手だ。
「だめ……いかないで」
掠れた声に心臓を掴まれるような切なさを覚え、キュッと唇を噛んだ。
「誰かと間違ってるよ」
自分で口に***************************
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