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る る あ ︵ ︵ 🌈🍑
かんすい
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帰国準備を終え、最後にもう一度温泉のようなジャワ式のフラワーバスに浸かろうとしたとき。 「……なぁ、一緒に入ろうぜ」 先輩が、悪戯っぽく、けれど深い愛情を込めて浴室の扉を開けた。 昨夜の情事の記憶が蘇り、私は反射的に体を隠そうとしたけれど、先輩の鋭い視線が、私の脚の間に注がれた。
「……お前、それは何だ」 先輩の声から、先ほどまでの甘い響きが消えた。 私の秘部には、昨夜の男による、あまりにも乱暴で執拗な愛撫の痕跡が、生々しく、どす黒く変色して残っていた。 繊細な粘膜が、南国の強いスパイスに焼かれたように、グロテスクなまでに充血し、腫れ上がっている。
「……転んだ、なんて言うなよ。そんな場所に痣ができるわけがない」 先輩の手が、震えながら私の顎を掬い上げた。 「……俺が、どれだけお前を大事に扱ってきたか、分かってるだろ」
「……誰だ。あのガイドか? それとも、昨日のバーの奴か」 先輩の瞳から、光が消える。 激昂するよりも恐ろしい、氷のような静かな怒り。 彼は私を無理やりバスタブの縁に座らせ、その無残な姿を、目を逸らすことなく見つめ続けた。
「……汚ねぇな。……あんなに綺麗だったのに」 先輩の指が、腫れ上がった患部に、わざと強く触れる。 「……っ、痛い、です……聖司さん……!」 「……痛いか? 俺の心は、もっと痛いぞ」
先輩はそのまま、私の顔を自分の方へ向けさせ、無理やり深い口づけを落とした。 「……いいか、お前。……この『グロい』身体も、全部俺が食い尽くしてやる。……逃げられると思うなよ」
結局、一言も謝罪を受け入れぬまま、車は空港へと向かった。 ビジネスクラスの広いシート。隣に座る先輩は、一言も発さず、機内食のステーキを、まるで獲物を切り裂くように黙々と口に運んでいる。
「……日本に帰ったら、……もう一度、最初から教育し直してやる」 先輩の低い声が、エンジンの音に紛れて聞こえた。
美食の旅は、いつの間にか「独占」と「支配」の、逃げ場のない物語へと変貌を遂げていた。