TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する



そして、葉月の全てを書いた新聞は世の中に広がり、テレビ放送とまでなった。

正直ここまでなるのは驚きだ。

たかが部活動なのに、

ここまでなるのは本当に驚きだ。


明るい太陽が登りだした朝、

テレビをつける。

テレビには僕が書いた新聞、葉月の顔写真が何回も、何回も、伝えられている。

みんなの記憶に残るように、

みんなが忘れないように。

鮮明な記憶になるように、テレビは何回も繰り返し呟いていた。


『この子は珍しい病気で──』

『この子のことを、世界中のみんなで覚えてあげましょう──!』

『お盆の日に皆様でこの子のことをお迎えしてあげましょう──!』

『きっと、この子は皆様に覚えられて嬉しいでしょう──!!!』


そうやって、ニュースキャスターは語る。

僕は、やり慣れた朝の支度をし、

出かける準備をする。

服はお気に入りの紺色のパーカーを着崩し、

ズボンは淡い青色のデニム。


すると、ここで母親から呼びかけが入る。


「一澄ー!朝ご飯置いてるよー!」

「はーい!すぐ行くよ!」


朝ご飯は食パンに紅茶。

食パンに塗るためのいちごジャム、ぶどうジャム、メロンジャムが机に3つ並べて置いてある。

この3つのうち、どれかを選ぶのが日課だ。

一昨日はぶどうジャム、昨日はいちごジャムを選んだ。まだ1回も使ったことのないメロンジャムを今日は使ってみよう。

美味しいのかもわからず塗るジャムは不思議な気持ちだ。

メロンジャム…

ビンに書いてある通り、色は緑色だ。

緑色というより黄緑色だろうか。

黄緑色の食パンを見るなり、

口に食パンを頬張る。


「んっ…あむっ…」


すごい不思議な味だ。

メロンなのか、メロンじゃないのか、

よくわからない味だ。

ビンにはメロンと書いてあったから

メロンなのだろうけど。


これはメロンなのか…?

よくわからない味で、メロンなのかがわからない。

例えるとマンゴーみたいな味だ。

これはメロンじゃなく、マンゴーなのでは…?

母に問いつめてみる。


「母さん!このメロンジャム、本当にメロンジャムなのか?」

「当たり前にメロンジャムよ〜。な〜に?どうしたの?」

「いや、すごいマンゴーみたいな味がするんだよ…」

「マンゴーの隣にビンを置いてたから、もしかしたらそのせいかもね〜!!ははっ〜!」


呑気な笑い声だ。


マンゴーの隣に置いていただけで、こんなにも味が変わるのか?

不思議だな…。

一体どんな風に置いたらそんな味になるんだ…?


マンゴーと言ったらマンゴーが食べたくなってきた。


「母さん、マンゴー食べたいんだけど。」

「今からはちょっと無理だけど〜、昼のおやつで置いておくね!」


今からは食べれなかったか。

まぁいいか。

おやつで食べれるんだ。

帰ってきたら食べよう。


朝ご飯も食べ終わり、することも終わった。

さぁ、翠の元へ行こう。

翠のお墓を綺麗にしなくては。

翠が待っているだろう。


外に出るなり、携帯のニュースを確認した。

ニュースは未だに翠の情報だった。

ついでにニュースの口コミも見てみる。


もちろん悪い口コミ、良い口コミもある。


『こんなことでニュースにすんのかよ』

『ニュースってこんなんだっけ』

『毎日同じことのニュースばかりで飽きるんだが』

そんな悪い口コミもあった。


だが、それを見て自然と悪い気持ちにはならなかった。

このおかげで、悪い口コミもあるからこそ、

翠が世界に残り続けるのだと思ったから。


これで翠は世界に残る。

世界中のみんなに覚えられる。

これでもう、翠は消えない。

二度と、消えることはない。

世界中のみんなが、翠を忘れないだろう。

いつになっても、

翠は世の中に残り続けるはずだ。


もう二度と会えないだろうけど、

二度と〃好き〃を伝えられないだろうけど、

二度と〃大好き〃を伝えられないだろうけど、

二度と〃気持ち〃を伝えられないだろうけど、

いくら新聞を読んでも思い出せないかもしれないけど、

今なら自信を持って言えることがある。

それは、

君が宇宙一輝いていたということ──。


世界は広い。

その広い中で一番輝いていたのは翠だと、

自信を持って言える。

広いこの世界で、翠は輝いていたんだ。

誰よりも。

星になった翠でも、

おそらく僕は翠を見つけることができる。

なぜならば、翠は輝いていたからだ。

大きく、どの星よりも輝いているのが、

きっと、翠だ。

明るいイメージはそのままだ。

星は無限に広がってあるけど、大きく明るい星が、

翠なのだと僕は思う。


本で見たことがある。

星と月はいつでも一緒なのだと。

星がなければ、月は輝けないし、

月がなければ、星は輝けないのだと。

だから、深夜、0時を過ぎた頃。

君と行った海に、もう一度足を動かし、

一番星に向かって手を伸ばし、呟いた。


「僕が、月になるまで、待っててね」

loading

この作品はいかがでしたか?

100

コメント

1

ユーザー

やだ超好き…… えげすばらな作品ありがとう…… れうってやっぱ才能に溢れてるわよ! 色々ちゃんと学べば、さらに輝きそうね! とにもかくにも連載お疲れ様!!ჱ̒  ᷇ᵕ ᷆ )

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚