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当たり障りない会話をして、じゃあと頭を下げる。山田さんが並んでいるお店と、反対側のお店でスイーツを選ぼうとする彼。
腰をぐっと引き寄せられて、ショーケースを見る。ほんの少し香るムスクにくらっとした。
どうする? これにしようかという声が、ものすごく近くで声がするので、ドキドキが止まらない。
うん、うんと、なんとか返事をしながら選び、美味しそうないちごのタルトと生チョコレートのタルトを購入した。
ケーキを買って振り返ると、まだ列に並んでいた山田さんが、ニコニコ私たちを見つめている。
ペコリと頭を下げ、山田さんの前を通り過ぎて、エスカレーターへと向かった。彼はまだ私の腰を抱いたままだ。
そのまま百貨店を出ると、コーヒーでも飲んで帰ろうということになり、向かいのファッションビルの喫茶店に入る。
席に座ると、私は大きく息をついた。
「あれだけ見せつけたら完璧」
そう言うと、篤人が注文したコーヒーを口に含む。確かに、視線は痛いほど感じた。月曜日には山田さんが本領発揮するだろう。いや、もうすでに会社の友人にはメッセージくらい送っているかもしれない。
「ねぇ……作戦の意図って訊いてもいい?」
疑問に思っていたことを、素直に彼にぶつける。契約恋愛の意図はなに? フルーツティーを少し飲んですっと彼の瞳を見つめた。
「……相手をイライラさせるため」
「え?」
「|美濃さん《相手》に俺たちが付き合っていることが耳に入れば、必ず次のアクションを起こしてくるはず」
そのうちむこうが勝手に始めるよ、と彼は言い切る。
「アクションって、どんな?」
「……いくつか考えてはある。対処は俺がするから、花音はただ俺に好かれてて」
好かれててと言われてドキンとする。何もしなくていいから、ニコニコ幸せそうにしていること。それで十分と彼は言う。よくわからないけれど、妙な説得力に、小さく頷いた。
「それだけでいいの?」
「うん、仕事はいつも通りで」
「あぁ……はい」
「営業のペアを解かれると困るし……」
なるほど。そっか。
いまは彼とペアで営業先に行っている。思いのほか好調で、大きな受注も入りそう。付き合っていることが原因でそれが解かれれば、彼にとっては営業成績に響くし、不都合なのだろう、
彼の迷惑になることは避けたい。うん、と小さく頷くと篤人は少し微笑んだ。
彼とする他愛もない話は、とても心地が良い。小一時間ほど話してから喫茶店をあとにして、彼のマンションへ戻る。
紙袋を開けて、中身をローテーブルに並べると、こんなに買ってもらったのかと愕然とした。
「ねぇ、それ着替え見せて」
ふわふわもこもこのかわいらしいルームウェアを彼が指差す。
まあ確かにこれは肌触りも最高だし、リラックスタイムには申し分ない。
今日はもう出かけないようなので、さっそく着替えようと寝室へ向かう。
寝室のドアを開けたところで後ろから抱きすくめられる。振り向きざまに唇を奪われて思考が止まった。
「んんっ……!!」
ワンピースの上から胸をさわられて、お腹の奥がじんっとする。「着替えさせてあげる」
彼は私の首の後ろに口づけをして、カーディガンを脱がしていく。ワンピースのファスナーをするすると下ろして、デコルテがあらわになる。
「だ、大丈夫だよ! 自分で着替えられるっ……あんっ!!」
はだけた背中から彼の手が入ってきて、下着越しに胸に触れる。むにむにと形を変える胸。思わず彼の腕をぎゅっと押さえた。
「全部脱いで、新しいの着て?」
「な……んでっ? ああっ!!」
耳元でささやかれて、背筋がぞくぞくする。ブラを上にずるっと押し上げられて、先端をくりくりと彼が弄る。
「あんっ……待って、シャワーに……」
「なら、まず脱がないとね」
硬くした舌で、背中を舐められるとはしたない声が漏れる。
そのまま壁に追い詰められてワンピースのスカートをめくり上げられた。
壁に手をつくと、彼が腰を持って突き出すような格好をさせられる。
あらわになっているであろうショーツのクロッチを彼がするすると撫でると、期待と興奮で蜜路が潤い、それが少しずつ脚の|間《あわい》にたまる。
身体の奥から湧き出るようなその感覚に全体が熱を帯びた。
「この中、どうなってるの?」
そう訊ねられて、恥ずかしくて火が出そう。イヤイヤと首を振ると、彼の指がショーツの中に入ってくる。
「篤人……だめっ……こんな明るいのに」
時刻はまだ16時を過ぎたところ。
明るい寝室では、姿も丸見え。
「これがいいんじゃん」
そう言ってショーツを膝まで下げた篤人。臀部を撫でながら、熱いものが脚の間に吸い付く。じゅるじゅるといやらしい水音が鼓膜を揺らした。
「いやああっ!! らめえっ!!」