漆黒の視界に、ぼんやりと光が入っていくのを感じ、奈美はゆっくりと瞼を開いた。
見慣れない天井が目の前に映し出され、横を向くと、大好きな人が奈美を抱きしめながら眠っている。
(そうだ。昨日の夜、私…………豪さんの部屋で抱かれたんだ……)
カーテンの隙間から陽光が差し込み、互いに肌を露わにしたままベッドで朝を迎え、豪と結ばれた事を、ようやく実感した。
ベッドサイドの時計を見ると、もうすぐ八時十五分になろうとしている。
奈美は、目の前にある彼の引き締まった頬を、指先でそっとなぞった。
無防備に寝顔を彼女に見せている豪を見て、やっぱり彼が大好きなんだと思う。
豪は、眠った顔もイケメンだ。
男の色香が溢れていて半端ない。
退屈しのぎに豪の頬や鼻筋に触れていると、微かに眉根を寄せ、んんっ……と小さく声を漏らしながら目を覚ました。
「おはよ……奈美」
「お……おはようござい……ます」
昨夜のベッドでの彼を思い出してしまい、奈美の顔が、少しずつ紅潮していくのを感じた。
「人の顔で遊んでただろ」
「遊んでないです……ただ…………触ってただけ……」
彼の顔がフッと近付き、唇が重なる。
「今日は…………そうだな。買い物に行くか。俺の部屋は何もないし、これから奈美もここに来る機会が増えるだろうし、奈美のシャンプーとか買った方がいいな。それから着替えとか、部屋着とかパジャマとか……」
豪が遠くに視線を這わせながら、う〜ん……と唸ると、何かを思いついたのか、清々しい朝に似つかわしくない不敵な笑みを浮かべた。
「あと、エッチな下着とか」
「下着は、私が一人の時に買うのでいいですっ」
奈美は頬を膨らませるけど、豪は落ち着かせるかのように、彼女の頭を撫でる。
「エッチな下着っていうのは半分冗談だけど、下着は俺の部屋にもあった方がいいだろ? お泊まりの度に、自宅から下着持参は大変じゃないか?」
「まぁそうですけど……って、エッチな下着っていうのは…………半分本気で言ってるって事ですか!?」
「うん。ってか、けっこうマジで言ってる」
「やだもうっ」
奈美は寝返りを打って豪に背中を向けるけど、あっさりと阻止され、ベッドに組み敷かれた。
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