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祖父母の家に行った翌日から陸は華子の父親を探し始めた。高津に紹介してもらった興信所ですぐに調査を開始してもらう。

祖母からの有力な情報がいくつもあったので華子の父親の居場所はすぐに見つかった。

興信所へ依頼してから二週間後に父・慶太の居場所が明らかになった。


陸は仕事から帰って来るとすぐに華子に知らせた。


「華子、お父さんの居場所が分かったぞ」

「えっ? もう?」


「ああ、お父さんは今もまだ北海道にいるよ」

「…………」

「行ってみるか?」

「___えっ、でも新しいご家族とかいたら迷惑かもしれないわ」

「ハハッ、その心配はないよ、お父さんは華子と離れてからずっと独身だ」

「!」


華子の瞳からはみるみる涙が溢れてきた。最近華子の涙腺はずいぶんと敏感になっている。

溢れそうになる涙をこらえながら華子が言った。


「陸、私行きたい。私、お父さんに会いに行きたいわ」

「わかった、俺も一緒に行くよ。来週行けるように日程を調整するよ」

「うん…ありがとう陸。本当にありがとう」


華子はとうとう頬を伝い始めた涙と共に陸の腕の中へ思い切り飛び込む。

しゃくりあげて泣く華子の事を陸は愛おしそうにしっかりと抱き締めた。



そして次の週二人は新千歳空港に向かう飛行機の中にいた。


「ねぇ陸…お父さんは本当に岩見沢市内のホテルの支配人をやっているの?」

「そうだよ。以前は北海道の違うホテルにいたみたいだけれど数年前から岩見沢市の『白樺ロイヤルホテル』で働いているそうだ。今日はそこに宿を取ったからお父さんが働いている所も見られるかもしれないな」


すると華子はスマホでそのホテルを検索した。ホテルのホームページを見て呟く。


「丸太造りの素敵なホテルね。なんかついでに旅行も出来て得しちゃった。あっ、でも陸は北海道出身だから旅行気分じゃないか」

「いや、久しぶりだから俺も楽しみだよ。それに華子、この後はハワイも待っているから忙しくなるぞ」

「うん、ハワイも楽しみ」


華子はニコニコと嬉しそうだ。


それから間もなく飛行機は新千歳空港へ到着した。

陸は空港からレンタカーを手配していた。


レンタカー会社で手続きを終えるといよいよ二人の北海道ドライブがスタートした。


「ここからどのくらいで着くの?」


「高速に乗れば一時間ちょっとくらいかな? ただ今日は時間があるから下道で行ってみよう。その方が北海道らしい景色を堪能出来るからな」

「陸は昔北海道に住んでいたから詳しいのね」

「うん、でも実家があったのは札幌だけどな」

「陸が学生時代を過ごした北海道かぁ。陸の学生時代ってどんなだったのかなぁ? 見てみたかったな」

「ハハハ、もう遠い昔だよ」

「モテたでしょう?」

「いや、そうでもないよ」

「嘘っ、絶対モテたはず」


華子はそう反論して拗ねたような顔をする。そんな華子に陸は優しく言った。


「大切なのは過去じゃなくて今だろう? 今は華子だけだ」


その言葉に華子は少しご機嫌になる。それから窓の外に流れる景色を見つめた。


道はどこまでも真っ直ぐに続き道路の両側には広大な畑が広がっている。空は青く澄み渡り遮るものが何もない。

それはイメージしていた通りの北海道の姿だった。


(お父さんはこの北海道の地でたった一人で生きてきたのね……)


そう思うと切ない気持ちで胸がキュッと痛む。

もし父と母が離婚した時に自分がもう少し大きかったら迷わず父について行ったかもしれない…華子はそう思っていた。


その時道路沿いに可愛らしい建物が見えた。レストランのようだ。


「少し遅くなったけどここで昼飯を食べて行くか」

「うん」


華子は頷くとペパーミントグリーンの可愛らしい建物を見つめる。まるでおとぎ話に出て来るようなとんがり屋根の店だった。

店に入るとシチューの美味しそうな香りが漂ってきた。この店は洋食レストランのようだ。

裏庭に面した部分にはウッドデッキがあり外でも食事を楽しめる。


「外の席で食べたい」


華子がリクエストをするとスタッフは笑顔でテラス席へ案内してくれた。


レストランは森に囲まれていてテラス席では木々の葉がサワサワと揺れる音や鳥の賑やかなさえずりが聞こえる。

北海道の遅い春を迎えたこの季節の風はとても爽やかで肌に心地よい。

二人はメニューを見てからこの店人気のシチューセットを注文した。


「なんかこんなに可愛らしいお店に陸といる事が信じられない」


華子は嬉しそうに微笑むとスマホを取り出し可愛らしい店を背景に陸の写真を何枚か撮った。


「おいおい俺を撮っても意味ないだろう?」

「ううん、いいの。後でおばあちゃんに送ってあげるんだから」


華子は楽しそうに笑う。

華子は先日実家に帰って以来祖母と頻繁に連絡を取り合うようになっていた。

華子が北海道へ行く事を告げると、


【北海道に行ったら二人の写真をいっぱい送って頂戴】


祖母からはそうリクエストが来ていたので華子は陸の写真を何枚も撮った。

すると陸が華子のスマホを取り上げて言った。


「華子が写っている写真の方がおばあさんは喜ぶと思うぞ」


今度は陸が華子の写真を撮り始めた。

森をバックにテラス席で微笑む華子はまるで天使のように愛らしかった。


(可愛いな…)


陸は頬を緩ませながらおすまししてポーズを取っている華子を何枚も写真に収めた。

その時シチューセットが運ばれて来た。料理を運んで来たスタッフが笑顔で二人に言った。


「お二人ご一緒にお撮りしましょうか?」


親切に申し出てくれたので撮ってもらう事にした。華子はすぐにその写真を祖母へ送った。


それから二人はほっぺたが落ちそうなくらい美味しいシチューを笑顔で食べ始めた。


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