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予想外のことを経験したことは? 俺はある。あれは俺が8歳の頃だ。侯爵家夫妻だった両親が遠方に視察へ行ったきり戻らなかった。大きな悲しみとそこに取り入ろうとする輩への対処に追われることに。俺は何とかそこを生き抜いた。それからもう10年も経つ。
「坊っちゃん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、アッシュ。いつも通りうまく行っているさ。君たちのおかげで。今夜俺がやることは、楽しい集まりを少しだけ、台無しにするだけだ。それに俺より強い人間はこの国にはいないって5年前にそう言っていた、そうだろ?」
そう言って俺は襟つきのジャケットを羽織る。認識阻害の魔術をかければ後は完成だ。
「お客様、招待状はお持ちでしょうか?」
俺は招待状を取り出す。気絶させたどこかの貴族の連中が持っていたものを利用させてもらう。
「確認できました。どうぞお入りください。」
「感謝する。」
そう言って俺はパーティー会場に入る。そしてそのまま中庭に入って、認識阻害の魔術の上に上級認識阻害をかける。上級認識阻害をかけているものを認知することは基本的には不可能だ。そして俺はジャケットを脱ぐ。あとはお楽しみの時間だ。