テラーノベル
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#ファンタジー
#御曹司
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低くて威圧感のある声音に、美花は振り返ると、余興の大トリでトランペットを吹いていた男性と、彼女と思しき女性が佇んでいる。
「ああ、侑。改めて、今日は演奏してくれてありがとう。怜も奏さんも楽しそうに演奏していたな」
「…………俺も久々にトリオで演奏できて、楽しかったよ」
男性二人の会話を耳にしながら、美花の頬に視線を感じ、送り主に顔を向ける。
ベージュブラウンのボブスタイルに、濃茶の大きな瞳が可愛い女性が、美花に話し掛けようと、唇を微かに震わせていた。
美花が、笑みを浮かべながら女性に会釈をすると、女性はパートナーの男性を見上げている。
「…………瑠衣。自分から声を掛ければいいだろ?」
「だって…………恥ずかしいし……」
「瑠衣さん、どうかしたのか?」
瑠衣と呼ばれた女性が、照れたように瞳を伏せる。
「…………いや、披露宴の入場曲を作曲した彼女が、カッコいいって、瑠衣が言ってたんだ。圭の知り合いみたいだから、声を掛けたんだが……」
「わぁ……カッコいいなんて言われたの、初めてなので嬉しいですっ」
美花が目を三日月のように細くさせると、瑠衣もニコリと微笑んだ。
「あのぉ…………作曲について、お話を聞きたいんですけど……」
「え、そっ……そんな大袈裟なっ」
美花が両手と首を横に振りながら目尻を下げると、女性二人のやり取りを耳にしていた圭が、そうだ、と手を打つ。
「なら、せっかくだ。四人でお茶しに行くか」
「…………圭。もしかして俺たち…………二人の邪魔をしてしまったか……?」
「いや…………そんな事はない」
「じゃっ……邪魔だなんて、とんでもないですっ」
侑と呼ばれた男性に、訝しげな表情を向けられたおにーさんが苦笑しているのを横目に、困惑気味な笑みを貼り付ける彼女。
「立川駅のデパートの近くにあるホテルのラウンジが、雰囲気がいいんだ。そこに行くか」
式場を出た四人は、徒歩でモノレールの駅へ向かっていく。
(私以外、三人は知り合い同士かぁ。一緒に行っていいのかなぁ……?)
どことなく不安気に思いつつ、美花は三人の後ろを歩き続けた。