TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

Protect Love

一覧ページ

「Protect Love」のメインビジュアル

Protect Love

第13話 - 第13話

1,101

2025年05月11日

#医者

#大人の恋愛

#ハッピーエンド

#大人ロマンス

#純愛

#切ない

瑠璃マリコ

シェアする

この作品はいかがでしたか？

1,101

瑠璃マリコ

プロフィール

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール

テラーノベルのスクリーンショット

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ホーム

検索

通知

本棚

栞は、クリニックの隣駅から、歩いて5分ほどの場所にあるファミリーレストランでアルバイトをしていた。

週三日、勤務時間は午後五時から八時までの三時間だ。

受験を控えた今、アルバイトを辞めることも考えたが、そうすると家にいる時間が増えてしまう。

なるべく家にいたくなかった栞は、そのままバイトを続けることにした。

学校が早く終わる日は、そのままバイト先へ直行し、ドリンクバーを頼んで客席の片隅で勉強させてもらっている。

店長は、受験前のアルバイトに理解があり寛容だ。

バイト先には大学生のスタッフも多く、分からないところがあれば誰かが教えてくれるので、無料の家庭教師付きだ。

栞と同じように、店で勉強をしているアルバイトスタッフは、他に何人もいた。

仕事仲間はいい人ばかりで、とても働きやすい職場だ。家からも近いので栞はこのバイトが気に入っていた。

大学生になっても続けたいと考えていたが、もし慶尚大に合格して一人暮らしをすることになれば、続けられなくなるかもしれない。

そう思うと、少し淋しく感じた。

今日はクリニックへ行った後にバイトへ直行したので、時間ギリギリに到着した。

栞は急いで制服に着替え、フロアへ向かった。

「今日もよろしくお願いします！」

店舗フロアへ入った栞は、調理スタッフやバイト仲間たちに挨拶をした。

「栞ちゃんおはよ！　今日もよろしくな！」

「栞ちゃんおはよー！」

「今日は空いてるから比較的楽よ！」

社員やバイト仲間から気さくな声が次々と返ってくる。

栞はさっそくフロアを回り、調味料や紙ナプキンが切れていないかをチェックする。

それが終わると、今度は小さなカゴにカトラリー類をセットし始めた。

空いている時間にこうして準備を済ませておけば、忙しい時に助かる。

もう一つ、栞がこの職場が好きな理由がある。それは、この店の制服がとても可愛いからだ。

サーモンピンクのフェミニンなブラウスに、モカ色のミニスカート。

その上には、スカートと同系色の可愛いチェック柄の短いエプロンがついている。

その可愛さに惹かれて、この店でバイトを始める女子高生もいるくらい、この店の制服は人気だった。

ユニフォームが可愛いとテンションも上がるから不思議だ。

夜の七時を過ぎると、店内も少しずつ混み始めた。

土日ほどの賑わいはないものの、それでも客足は徐々に増えてきている。

そこへ、新しい客がまた入ってきた。最近、この時間帯によく訪れる男性二人組だ。

彼らは半グレのような雰囲気を漂わせており、年齢は三十歳前後。

いつも爆音を立てながら、黒のワンボックスでこの店に来ていた。

スタッフからはかなり評判の悪いその二人組は、周りの客の迷惑も考えずに、いつも大声で笑ったり、怒鳴り声を上げたりしていた。

ファミリーレストランでは、かなり浮いた存在だった。

いつもなら店長が対応してくれるが、今日は店長が公休日で不在だった。

彼らのテーブルから呼び出しベルが鳴ったが、嫌がって誰も行こうとしないので、仕方なく栞が向かおうとした。

その時、休憩から戻ってきた大学二年生のアルバイト・高柳優斗（たかやなぎゆうと）が栞を制止した。

「僕が行くから大丈夫だよ」

そう言って、優斗は彼らの元へ向かった。

その時、栞の隣にいたバイト仲間の長沢瑠衣（ながさわるい）が、うっとりとした表情で言った。

「優斗さん、男らしくて優しいよねー！　まるで王子様みたい！」

「そうだね」

栞は頷きながら答えた。

同学年の瑠衣は、栞と違う高校だったが、バイトを始めた時期が同じなのでずっと仲良くしている。

どうやら瑠衣は優斗に好意を寄せているようだ。

瑠衣は見た目が派手で可愛いタイプの女子高生だ。

瑠衣をあまりよく知らない人は、遊んでいるタイプの女子高生だと思うかもしれない。

しかし、実際は超がつくほどロマンティストで、身持ちが堅い女の子だと栞は知っている。

そんな瑠衣の恋を、栞は心から応援していた。

瑠衣の想い人である優斗は、国立大学に通う理系男子で、口数は少ないが誰に対しても紳士的だった。

高校生のバイトスタッフたちからは、お兄さん的存在として慕われていた。

この店でのバイト歴も長く、今では社員以上に頼りにされる存在になっている。

優斗が注文を聞きに行くと、半グレ二人は面白くなさそうな顔で彼を睨み、不愛想に注文をした。

しかし優斗はまったく動じることなく、淡々と対応している。

半グレたちのお目当てが、可愛い制服を着た女子高生であることは、誰の目にも明らかだった。

優斗が戻ってくると、瑠衣が聞いた。

「大丈夫でしたか？」

「うん、大丈夫だよ」

優斗はにっこり笑って答えると、オーダーを伝えに調理場へ向かった。

「凄いよね、あんな半グレも怖くないなんて！　カッコイイなぁ……」

「本当だね」

栞は、優斗の後ろ姿に見とれている瑠衣を微笑ましく見つめながら、穏やかに返事をした。