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[第16952報告書]
パモラの影響により死者124名。核体兵器の死者は0名。パモラの遺体調査により発覚したことは、彼ら異星人は私たち人間と内部の構造まで、ほぼ同じということ。けれど、一つ決定的なものがある。異星人の臓器には、私たちには付いていないものが付いていた。エーテルを吸収する器官がついていたのだ。詳しく言えば吸収と出力も行う器官であり、異星人が異能を使える一番の原因とも言えるだろう。今回の戦いでパモラやヘカテ、ヨウとカタハなど敵軍の戦力を削ぎ、約160名の損失を負わせることに成功した。REU-721,RCU-099の死亡を確認。ただちに欠番を埋めるための処置をする事。死者の戸籍を完全隠蔽しておくこと。今回の戦争でRGU-054とRCU-003,RCU-002への精神負荷が急上昇したこと。特にRCU-003の精神的負荷を受けるとコアの暴走が早まる確率が格段に上がる。鎮静薬も日に日に効果を無くしつつあるため、精神治療を行う事。敵陣が未だ撤退をしていない為RCU-002,RCU-003を輸送。他の人員補充を求む。
[3918年5月12日11時03分/3号]
目が覚めると見知った天井。そういうのはだいたい見知らぬ天井が定番なのに見知った天井…。体を起こすと自分の部屋にいた。
薄暗く窓ひとつない部屋。自分の部屋ということは、ここは本部?さっきまで戦場にいたと思うのだけど。
ベットから立ち上がってドアを開けようとするが開かない。壊れたかなと思い蹴るがやっぱりビクともしないというか逆に足が痛い。
2号じゃないからこんなの開けられない。鍵が壊れたにしてはなにか変な気がする。鍵は叩けば直るから多分壊れてない。
と思えばドアが開いて92号が入ってきた。久しぶりですねと言いながら人の部屋に無断で入って来やがる。不意に92号に肩をガシッと捕まれた。
「今からバツ受けて貰うから、覚悟してね?」
「え…。」
「え…。じゃないですよっ!!!私がどれだけ心配していたか分かってます?!最近私に全然話しかけてくれなかったじゃないですかぁ!!」
それだけで罰受けろは鬼か悪魔だろ。92号の拳がお腹にボスっと当たるが、全然痛くない。良かった拳を振るっているのが92号で。貧弱すぎて全然痛くなかった。
「私がこれで満足すると?!」
92号またくすぐろうとしているから腕を掴んだらポカンとした顔でこちらを見た。なんだよその表情の変わりようは。92号の考えなど動きで分かるわ。
「僕のことナメてるだろ。そんなとっろい動きにやられるほど弱くない。」
「うぅぅ…ぅぅぅぁぁぁぁ…。」
泣きべそかきはじめた。相変わらず演技が達者というか、絶対怖いとも思ってないだろうに。92号は急にぱっと顔を手で拭うといつも通りの顔になる。
「そういえば私1号さんとまた喧嘩し───」
聞きたくなくて耳を塞いだら92号がぷんぷんした顔をした。でも絶対聞きたくない…。仲裁役だけはしたくない…、他の子ならまだ良かったけど…。
「絶対仲裁役はしないからな?」
「ぶー、ケチケチケチケチケチケチケチケチ!」
ガンガンと92号が足をけってくる。でも力が弱すぎて全然痛くない。めんどくさいから部屋を出ようとしたら首根っこ引っ張られた。
「うぇぁっ?!首っ!!首首!!!締まるって!!」
「第一ボタンまでしっかりしめてるからですよ!風紀守りすぎですよ!!」
134号じゃないから風紀は守るだろ。なんてツッコミたかったけど引っ張られて声すら出ない。鬱陶しいから頭で頭突きをした。
92号は痛っ!と大袈裟に叫ぶ。ごめんと言った後、走って逃げるが通せんぼするように86号が廊下の真ん中に立っている。
そのままスルーして横切ろうとしたけど、腕を掴まれたから背負い投げした。だが、足を掴んできた。化け物?お化けか?何だこの人!
「足を掴むな自殺バカ!!」
「見事に背負い投げさせられてムカつくから悪あがきをしているわ。」
どうしよう蹴るのはさすがに無理だ…。もうめんどくさいからそのまま引きずっているが86号は相変わらずの笑顔で引きずられてる。
「なんか楽しいわ。あ、でも92号が追いかけて来てるわよ。どうするのかしら?!どうするの?!」
ノリノリで楽しんでやがる。蹴りたいけど蹴るのは無理だし、重いから上手く動けない…。キラキラした目でこっちを見てくる。
「離してもらっても…?」
「ふふ…、いやよ。」
「この自殺バカ野郎が。愛用してるロープ捨てるぞドマゾ女!!」
「口悪!!あなた怒るとほんと口が悪いわね!!なら私も根性見せるわね。絶対離さないわ!!死んでも離さないわ!!」
92号が思いっきり突進して腰に頭突きしてきた。若干痛い!腰に負担かかるからやめてくれ。ふげっという声が喉からでる。
あまりの重さから地面にぶっ倒れる。92号の体重が重いとは言ってないけど…!!ただ僕の筋肉が無さすぎるだけなんだけどさ重いんだよ…?!
「聞いてよ86号!!この人2号には優しー口調なのに、私にはキツイ口調なのー!!」
「私もドマゾ女って言われたわ。」
ニコニコしながら二人は愚痴を始めた。そのおかげか二人は僕から離れていた。服についてる埃をはらう。二人は僕をじっと見張るようだった。
「なんでそんな見張るんだよ。」
「精神が不安定なので53号さんに待機命令が出されたのですけど、全くお話を聞かないから無理やり2号が気絶させて連れてこられました。」
あんまり記憶がない。けどなんかなんか2号に怒られたような記憶はあるようなないような…。なんだっけ…?よく覚えてないや。
ていうか、全然不安定じゃないし、今も普通に考えられてるし混乱もしていないのになんで不安定だと思われてるんだか。
2号の精神状態はたいして気にしてないくせして、どうして僕のことだけは気にするんだか。なんだかムカつく。ファーストの命令かなんかだろうけど。
「2号は?」
「2号も待機命令を出してるわ。精神状態が良くないって94号が言ってたからね。ま、2号は特殊だからコアが暴走しちゃうことはないんだけどね。」
どういうこと?暴走しちゃうことはないって言った。でも、そんなことあるのか?いくら2号でもさすがにそんな事ある?
ていうか、なんでそんな事86号が知ってんだよ。なんかムカつく。なんでムカついてるのかは知らんけどなんかめちゃムカつく。
「あ!そういえば94号さんが呼んでましたよ。行ってくださいねちゃーんと!」
「わ、分かりました…。」
[3918年5月11日11時56分/2号]
まさか呼び出されるとは思わなかった。何かしたっけ私。倉庫の薬品の瓶壊してないのに呼び出されことあるんだ…。
ドアの前で立ち往生しながら心の準備をしていた。怒られるの前提だから、もうちょっと心の準備をせねば。
「に、…2号何してんだ?」
「あ、130号じゃん奇遇。」
「こんな所でなにしてんの?」
「心の準備 」
「なにそれ」
当然疑問に感じますよね…。この子真面目すぎて私とでは、到底価値観合わない気がする。意外とお茶目なところとかあるのかな。
なんて思えば背中から思いっきり抱きつかれた感覚がした。後ろを振り向くと86号が抱きついていた。なんだか小っ恥ずかしいからやめて欲しい。
「2号奇遇ね。あら、この男の子は誰かしら?」
「RCU-130、AD-3904。」
「130号ね。そんなにお固くなくていいわよ。」
「OK、よろしく変な人。」
「ねぇ急に雑になってないかしら?極端すぎない?」
私は今の状況に疑問しかないよ。医務室の前で自己紹介してるの何。ていうか、130号は133号以外にたいして興味持ってないんだった。
86号みたいなタイプとの相性どうなんだか。2号は、めんどくさくなって医務室に入った。けれど、誰もいないっぽい。86号と130号も入ってきた。
なんだろう。ここはみんなのたまり場かなんかかな?って疑問に思った。たまに知らない人はくるけど、知り合い以外あんまり見ないイメージが…。
そんなどうでもいいことを考えるのがめんどくなってソファにだらしなく座った。86号はロープを取り出し嬉しそうに輪を作り始めた。
「ちょちょちょちょ!!何してんのあんた!!」
「え?暇つぶしに吊ろうかと思って。」
「何を?!なんで?!なんで今?!」
「130号、ほっときなよ。いつもの事だから安心しな。」
なんて言ったけど、130号は全力で止めていた。この子が首吊りごときで意識を失うことはそうないから大丈夫だとは思うけれど。
130号と86号がロープの取り合いをしている。なにこの光景。ていうか、86号の自殺癖はいつからついたのだろうか。最初は私も驚いたけど。
噂じゃ育児放棄で飢えに耐えられなくて自殺したところを快感に目覚めたとか。…自殺の快感に目覚めるってどういうこと?
こんな変態だけど、育児放棄が産んだ可哀想な子だったりする。だからむやみやたらに否定できない。
「2号、ちょっと来なさーい。あ、86号もついでに手伝って〜。」
「い、今?!…わかったわ…。」
86号も渋々94号の元へ行く。94号がドアへ案内したが、入ろうとした時、3号とすれ違った。
[3918年5月11日12時13分/3号]
呼び出されたから何かと思えば、薬の相談だった。焦ったけど、そんな話だったからまぁ、良かったといえば良かった。
3号はそこで待ってろいいなと脅されたので渋々座っていたが、130号が居た。気まづい。気まづいと言わざるおえない…。
「3号って2号のこと好きなの?」
「なに、どういう好き?!」
「どうって、その反応は確実に好きじゃん。」
「なに…どう…えっ……え?」
[3918年5月11日12時31分/2号]
薬品庫に呼ばれた。ま、94号に薬品庫の整理しておけとか言われたけど、一体どうやって整理すればいいんっか分からない。
「ねぇ、これってどう整理すればいいかわかる?」
「わかるわよ。私はよく薬品庫の生理頼まのれるもの。」
意外だったなー。この人結構率先して薬大量摂取したり劇薬のんで命を感じてそで怖い。
86号は2号と一緒に薬の瓶を整理していた。94号は知らん間にどこかへ消えた。あの人色々と忙しそうだから、多分仕事へ行ってしまったのだろう。
「そういえば、86号って、なんであんなに自殺癖があるの?」
「そうね〜、昔お母さん私の事すっごく蔑ろに扱ってたのよ。まぁ、無関心でね。…首を吊ると、死んでない?って心配してくれるの。だから、なんだか、面白くなってきちなって。スリルっていいわよね!」
「…そう。86号は、親の関心を向けて欲しかったの?」
「えぇ、そうなのかもしれないわ。…けれど、それ以上に、…遊んで欲しかったし、愛して欲しかった。」
私にはわかれ無い気持ちだった。だって、彼女の言う愛は、私にとっては当然のものだったから。その機関に入って初めて、愛とはどういうものなのか、愛についてちゃんと知った。
愛されない子達がいることも、知った。だから、自分は恵まれているからこそ、この子達の苦しさが私に理解できないことが、なんだか辛い。
「そんな顔しなくていいわよ。2号は、優しいわね。」
「…何が…?」
「何がって…ふふっ…言葉では同情なんてしてないだろうけど、なんだかんだ、同情してくれるのね。」
同情してくれる?どういうこと?同情は、相手にとって辛いものなのに、何をそんなにヘラヘラと笑っているのだろうか。
「同情=辛いって訳でもないのよ。2号は、気遣うような言葉ひとつよこさないから、かえって話しやすいわ。」
「褒めてるんだか、貶してるんだか…。」
「褒めてるわよ。」
コメント
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わあ、第29話読了しました!報告書から始まる重い空気から、一転して3号と92号・86号の軽妙な掛け合いにほっこりしました。特に「ドマゾ女」呼ばわりしながらも、結局引きずられてる3号の不器用な優しさが伝わってきて微笑ましかったです。そして2号のパートでの86号の過去――育児放棄から♡♡♡癖が生まれたっていう切ない背景。重いテーマを軽やかな会話劇で包み込む天脳さんのバランス感覚、見事です。3号と2号、それぞれの視点で進む構成も素敵で、続きが気になります!
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