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うわあ……もう最初から最後までキツすぎるよ😭💔 5歳でこんな過酷な環境とかむり……「生まれてきてごめんなさい」って自分を責めるシーン、胸がギュッてなったよ。F1の子が笑顔の理由を「耐えられないから」って言うのも切なすぎる……でも53号が「母さんの代わりになる」って抱きしめてくれたところ、ちょっとだけ救われた気がした。葵陽くん、頑張ったねって伝えたい。続きめっちゃ気になる…!
[39??年??月??日/???]
「寒い…、寒い…。」
ボロボロな有り合わせの素材で作った木造の家。寒さを凌ぐことが出来ないほどの隙間と環境。薄いシャツと半ズボンでは寒さは凌ぐのが難しかった。
手足の末端が赤くなる。チクチクとした痛み、寒いのが痛い。息を吸う度に喉が痛い。
寒すぎて全身から震えが止まらなかった。けど、今この部屋には一人しかいない。なんせ、母さんは別の部屋で、僕と顔を合わせることが辛いからだ。
多分、リビングの方が暖かいと思う。でも、僕は、リビングのドアの隙間から漏れ出る暖気で耐えていた。体の傷が冷気で染みる。
「ねぇ、聞いた〜?西園寺さんの家、夜になると白衣を着た人がいっぱい入ってくるのよ。それに、よくすすり泣いてる男の子の声が聞こえるんですよ。」
「きっと虐待を受けてるんだわ!可哀想…。それに、あちらの子、非嫡出子なんでしょ?顔がいいことだけはまだ救いよね〜。」
よく近くのおばさんが話をしている。僕はそれをただ聞いて暇つぶしをしていた。おばさんたちが言うには僕たちは貧民街の身分の低い人間らしい。
昔は貧困をなくそうと言う働きがあったけど、戦争が始まってからはそんな余裕が無いんだとか。
今じゃ、身寄りの無い子供は身分が一番低く、一番人間扱いされないらしい。人口爆発により自然と身寄りのない子供が増えたとか。
「あの子一回見た事あるの?」
「えぇ、見たことあるけど傷とか痣は見当たらなかった。まぁ、その時は長袖着てたからよく見えなかったけど、顔だちはすごく整っていたわ!」
「なら、さっさと身分の高い者に売ってしまえばいいのに。なぜ中途半端に愛すのかしら。」
あんまり、聞きたくない話だった。それに、もうそろそろ夜になるじゃないか。夜になると、陽の光が遮断されて部屋はたちまち真っ暗になる。
当然照明なんてものはないからその真っ暗の中怖くて何度も泣いてしまった。
「葵陽…、ねぇ…。」
あれ、母さんが珍しく部屋に入ってきた。いつもだったらその部屋に入りたくもないなんて過呼吸起こして倒れちゃうのに。
母さんは僕と同じように地面に座り僕を抱きしめ、僕の肩を濡らすほど泣いていた。
「ごめんね…、ごめんね…。いいお母さんじゃなくてごめんね…。大事なはずなのに…、私…あなたのこと…愛してあげられない…。」
「…………大丈夫だよ…。僕は母さんのこと、ちゃんとわかってるから。だから…泣かないで…。」
母親の苦しみは、5才の僕には荷が重すぎた。ただ苦しそうだ、ずっと泣いている。それはわかってるから、ただ優しく返事することしか出来ない。
けど、白衣の人がまた入ってきた。指の末端の感覚がないことに今気づいた。白衣の人は僕から母を引っぺがし、その指を見るなり針を僕に向ける。
「ひっ!!やめて!!」
反射的に白衣の人の腕を叩いてしまった。だってその針に刺されたら苦しくなるから、そうなる前に逃げようとしたけどあっさり掴まれた。
「大人しくしなさい!!」
「やだ!やめてっ!!苦しいのもうやだっ!!」
手足を押さえつけられ、なにも出来ない状態まで追い詰められると、腕に注射薬を打たれた。
打ち込まれた後、手足は解放されたが体が熱くなる。不意に押し寄せる恐怖と指先に冷たい感覚が侵食するように少しずつ体を冷やす。
いつのまにか体の熱が全てなかっかのように消えていた。寒くて寒くて吐き気が込み上げる。ゲホゲホと吐き出したのは血だった。
何度も何度もゲホゲホと出す。周りを見ると大人たちは僕を見て記録に必死になっている。
#恋愛
ばたっちゅ
4,526
215
#BL
NGS_ヘビーなしっぽ
204
「このウイルスは前回のウイルスより効果的だな。じゃあ、今日はこの辺にしておこう。」
そう言うと大人たちは僕にまた注射薬を打ち込んだ。その注射薬はいい薬で、打たれたら気持ち悪くはなるけど何されても治るようになる。
「母さん…、大丈夫?」
唯一、母さんが僕の存在を知っている肉親だ。僕のことを養ってくれているから、幸せじゃなくても、母さんが幸せならそれで、いいから。
「あなたこそ…ひっ…ごめんなさいごめんなさいっ!!ごめんなさいごめんなさい…!!」
また…、母さんは罪悪感でずっとこれだ。宗教にハマったり、いつもこうやって何かに怯えている。
だから、僕は母さんが辛くないよう母さんの視界に入らないように、真っ暗な部屋に入って身を隠す。夜中だから真っ暗で不安で怖い。
暗闇で、何かの視線を何個も感じる。恨めしく見られるような視線が怖い。怖い…、暗闇は怖い…。
「ごめんなさい…、いい子になるから……ごめんなさ…い… 。」
その視線はお前は悪い子だって目で見てくるような気がした。今日も大人に逆らった。うっかり手を叩いてしまったから、それに怒っているんだ。
怖くて涙が出る。一瞬でもいいから母さんの暖かみというものに触れたい。母さんとして愛して欲しい。
『私…あなたのこと…愛してあげられない…。』
母さんのあの言葉が脳裏によぎる。愛してあげられない、…僕のほしいものは手には入らない。
母さんも、僕を愛してはくれなかった。それは寂しいことだけど母さんのためだから気にしないよ。
「ごめんなさい…、いい子じゃなくてごめんなさい…。」
体を丸めて寒い中身体を震わせ眠りについた。次の日になると、家には人っけがなくやけに静かだった。ドアをこっそり開けると白い人が沢山いた。
「君の母さんはもうこの家にはいないよ。」
「…え。」
「逃亡した。今日から我々の方で引き取ることになった。”3号”。」
「3号…?なにそれ…、僕には葵陽って名前が───」
そう反論した時、男性は机を叩き笑顔の圧をこちらに向ける。従わないとまた叩かれる。
「な、なんでもないです。ごめんなさいっ…いい子じゃなくてごめんなさいっ…!!」
「いいんだよ。じゃあ、いこうか。」
白い男に手を引かれ、歩いた。貧民街を後ろにただ何も考えずに。彼らの意思で歩いた。
名前だって、彼らに消されちゃうのか。忘れたくない名前、でも、忘れなきゃ行けない名前なんだ。
ごめんなさい、理想の子供じゃなくて、ごめんなさい、生まれてきてごめんなさい。
僕すら生まれて来なければ、母さんはあんな…、あんなに苦しむこと無かったのに…!!
「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい…!」
「被検体-003は痛みに弱いようです。慣らす必要がありますね、なんせこのプロジェクトが始まってから初の”適合者”ですからね。」
大人たちはそんなことを言っていた。いつも通り、体に生物兵器を打ち込まれては身体にエーテルを打ち込まれ治される。
あの日、母さんが消えてから4年の月日が経とうとしていた。あれからも、僕は実験をされて、こんなどうでもいい奴らに身を捧げている。
「少し待ってなさい。」
そう言われ拘束具に押さえつけられたまま空調の音を聞いていた。けれどヒソヒソ声が聞こえるとつい聞き耳を立ててしまう。
「被検体-002F1は先の実験により痛覚を失ってしまったのだとか。」
「そうだな。F1はどうせ───」
聞こえなくなっちゃった。コツコツとした足音と裸足で走るような音が聞こえた。
部屋のドアが空いた。そこに立っていたのは研究者ではなく、一人の少女だった。
「おぉ〜!!君が3号〜?!思った以上にちっちゃいね〜!!ねね!今何してるのー?」
その少女は黒髪揺らして実験体とは思えないほど表情豊かだった。笑顔なんて久々に見た。
それに、なんて言うか脳天気ズラというか。普段から実験を受けているのに、この子はどうしてそんに笑顔でいられるのだろうか。
「ねぇ…、どうしてF1はそんなに笑顔なの?」
「なにそれ、変な質問ー。…笑顔でいなきゃ、耐えられないから?とか。」
「…そっか。…僕は笑顔が耐えられないよ。…疲れるだけなのにさ…、笑った時は気分が良くて…」
笑顔も一種の精神安定剤なのかもしれない。僕にはそんな笑顔すらどうするのかよくわからないけど。
でもその時、女の子が背伸びして僕の頬を伸ばすように摘んで笑った。
「笑顔笑顔!こう…こんなふうに笑って嬉しいこと思い出したら誰でも笑えるよ!」
「ごめん…よく分かんないや…。」
「うーん、嬉しいって感情が薄いのかな〜。」
なんでそんなに笑わせようとしているんだこの子は。なんて思っていたら、足音が聞こえ女の子はやっべと呟きまたね!と手を振りドアから出ていった。
また白衣を着た人らがぞろぞろ入ってくる。また腕になにか針で入れられる。
赤い液体が入れられた途端気持ち悪くて吐きそうになる。身体が震え始め赤い液体が体の中で熱くなる。
「あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っ!!!」
今までにないほど苦しさから声を上げてしまった。気持ち悪い頭が痛い心臓が痛い…、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっっ!!
心臓を握りつぶされるような感覚、表層的な痛みとは違う気持ち悪さが僕を襲う。泣きたい、苦しい、助けてって言いたい。助けてほしい。
そんな様子を見ても平然としてる職員は、僕から見ても化け物にしか見えない。泣いてどうこうなったらどれだけ楽なことか。
「お疲れ様です。では、お勉強でもして待っててください。また来ます。」
「…はい。」
あの後は、よく覚えていない。ただ、あの実験からあいつらに逆らえば、あの実験より酷い罰が待っていると何となく想像が付いた。
たから、部屋でも大人しく指示に従うだけだった。誰も助けてなんかくれない。それが当たり前だってことに初めて気づいた。
ただ、渡された本には自分では理解できない数学式が沢山並んでいた。
『葵陽、お母さん頑張るね。』
「帰りたい…もう……家……帰りたいよ……。」
どんなに寒くてもいいです。母さんを返してください…、どんなに寒くても暗くてももう泣いたりしないから…、お願いだから…助けて…。
寒い家だっていい、異星人なんてどうでもいいよ、家に帰りたいだけなのに、どうして…。
「母さん…助けて…。」
[3917年??月??日??時??分]
3号の目の前にあるのはコアが破壊された”JCU-014”の姿。その姿を見つめる3号、いらだちからか”小さなナイフ”で自身の手のひらを何度も刺した。
「なんでなんでなんでなんでなんでっ!!!」
直ぐに落ち着きを取り戻したのか小さなナイフをしまうと、大きく溜息をつくが、込み上げてきた気持ち悪さから嘔吐してしまう。
「お”ぇぇっ…」
3号は何度もえずき、込み上げてる吐き気を我慢しようと唇を噛む。地面に座ったまま本部への通信をした。
「…14号…死亡……彼は…、最後まで…、頑張って笑顔を作って…、苦しい気持ちに…耐えて……。」
泣く前に通信を切った。53号の声すら今は聞きたくなかったのだ。3号は何故か、14号の死体を揺すって起こそうとしていた。起きるわけがなかった。
それが3号なりの少しの現実逃避だった。
「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい……。」
[3917年??月??日??時??分/3号]
「3号、大丈夫ですか?顔色が悪いです。14号の件は、忘れた方がいいです。あなたは悪く───」
「何がですか!!あなたは何も分かってない!!あの時の顔が!!死にたくないって言葉が頭から離れないんですよ!!!」
53号はその怒鳴り声も聞き、3号を見つめる。3号は怒りから自身の腕を手でぎゅっと掴む。爪がくい込んでも3号には気にするまでもなかった。
53号はどのような言葉をかければいいか、どのように彼を楽にできるか、そんな方法科学者ですらわからない。人間の気持ちを変えるにはどんな技術でも記憶を消す他ない。
彼の記憶を消すことは、彼自身を消すことになる。53号は、それだけは避けたいと思い、言葉でどうにかするしかないと考え、思考に力を回す。
「…私じゃ、気持ちを分かることは…できない。…その気持ちを変えることは…できない。私には何も出来ない…ごめんね。」
53号は少しでも支えようと3号を抱きしめる。3号は離れようとしたが53号は臆せず抱きしめた。
言葉では人を救えないなら行動で少しでも楽にしてやりたいと思ったからだろう。
「何も出来ないなら…、勝手にそんなことしないでください…。あなたは僕の母さんでも…ないじゃないですか。」
「お母さんの代わりくらいには、なれる。母ってのは、子供が辛い時は黙って抱きしめるものだから。」
53号の母がそうしたように、同じことをした。言葉だけじゃ、救えやしないけれど、言葉がないと救えないことだってある。
「頑張った…。頑張りましたよ…。3号は、あなたは。わがままを言うのであれば、私はそれに全力で付き合います。」
「…はい…。」