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車に近付くと、彼が運転席から出てきて、助手席のドアを開けてくれる。


「ごめん、ちょっと遅くなっちゃったな」


「いえ、大丈夫です」


豪は助手席のドアを閉めた後、運転席に乗り込むと、シートベルトをして車を緩やかに発進させた。


白のSUV車に乗るのは、これで二回目。


カーステレオからは、FMラジオが渋滞情報を知らせている。


「ドライブといっても、時間も時間だし、郊外周辺になるけどな。俺が好きな場所があるから、奈美を連れて行きたいんだけど、いいか?」


「もちろんです」


豪の好きな場所に、奈美を連れて行ってくれるのが嬉しい。


車は南北に通っている街道を南方向へ抜け、多摩川に掛かる橋を渡ると、今度は東西に伸びている街道を西方向に走っていく。


途中で多摩ニュータウンに入り、彼の運転する車は、モノレールが通っている交差点を左折した。


直進していくと、多摩センター駅に突き当たり、豪は駐車場を探すために、駅周辺を車で走らせる。


満車の駐車場が多い中、ようやく空車の表示が出ていたホールの駐車場に、車を止めた。


「着いたぞ」


彼が、助手席のドアを開けてくれて手を差し出し、奈美は豪の手を取った。




駐車場を出ると、綺麗に整備された街並みが広がり、ホールの外観は海外の古代遺跡を思わせた。


屋上らしき場所には、太い柱が八本ほど並び、駅周辺全体を眺められるようになっている。


二人は屋上へと通じる階段を登り、街並みを見渡していた。


「ここさ、冬になると駅周辺がライトアップされて、中心には大きなクリスマスツリーがあって、すげぇ綺麗なんだよ」


穏やかな眼差しを、奈美に向けている豪。


この場所が好きだ、というのが、彼女は意外に感じた。


彼は都内で色々な場所を知っているイメージがあったから、郊外にお気に入りの場所があるなんて、思いもしなかった事だ。


「見晴らしが……すごくいいですね」


外はすっかり暗くなり、街には光の粒子が散りばめられていた。

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