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その夜。私は、仕事終わりに、廃病院を訪れた。
「やっぱり、なんか雰囲気違うなぁ……」
病院の中は薄暗くて、少し肌寒い。なんとなく不気味な感じがする。そういえば、美奈が言っていたっけ。ナースステーションの奥にある病室がヤバいって。
「確か、この辺りだったかな……」
ナースステーションの奥にある病室の前。ドアに貼られていたお札は、今は剥がれ落ちている。ドアを開ける前に、まずはドアノブに手をかけてみる。ガチャッ……鍵はかかっていないみたい。
ドアを開けようとする。すると、 ガタッ ドアの向こう側から物音が聞こえた。誰かいるのかもしれない。
「こんばんは」
挨拶をしてみる。シーン……として、返事はない。
「すみません」
もう一度声をかける。すると、再びガタゴトと音を立てて何かが動く気配があった。
「そこに誰かいますよね?」
…………反応はない。どうしよう。このまま帰ろうかとも思ったけど、里桜ちゃんのことが気になるし……。
「ちょっとだけ中を見ていいですか?……失礼します」
私はそっと扉を開けた。部屋の中にはベッドが1つ置いてあり、その周りにはカーテンが閉められている。おそらく入院患者の個室だろう。
「おじゃましまーす」
ゆっくりと部屋の中に入る。その時、足元に何かが落ちていることに気がついた。
「これ、なんだろ」
それは白い紙袋だった。中身はわからないが、かなり膨らんでいて、パンパンになっている。何が入っているんだろう?……私は好奇心を抑えきれずに、それを拾い上げた。そして中身を覗いた瞬間、
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げてしまった。
「なにこれ……」
紙袋の中に詰まっていたのは、大量の毛だった。長さはまちまちで、まるで、人間の抜け毛を詰めたかのような、でも髪の毛とはちょっと違うような……。
「気持ち悪い……」
紙袋を元の位置に戻し、そのまま立ち去ろうとしたとき、足が何か柔らかいものを踏んだ。
「あっ……」
見ると、そこには人形のようなものが転がっていた。大きさは40センチほどだろうか。
「なに、これ……」
よく見てみようと手を伸ばす。すると、突然背後に人の気配を感じた。振り返ると、そこには黒い服を着た男たちが立っていた。
「えっ!?」
男達は私を取り囲むように立っている。
「だ、誰……?」(続く)