二〇二五年がスタートし、冬季休暇も終盤を迎える頃、恵菜が自室でくつろぎながらスマートフォンを触っていると、画面が光り始めた。
予告通り、奈美からのメッセージだ。
『恵菜、明けましておめでとう! 今年もよろしくね。まさか恵菜が、ファクトリーズカフェで仕事しているなんて思わなかったから、もうビックリだよ! そうそう、ランチの件だけど、今度の土曜日、三連休の初日なんだけど、空いてる?』
今にも文字が喋り出しそうな彼女からのメッセージに、恵菜はクスリと微笑む。
返信ボタンをタップしてメッセージ入力画面を開き、指先を滑らせて返事を打ち始めた。
『奈美、明けましておめでとう! 今年もよろしくね。今度の土曜日は空いてるよ。立川でランチする?』
送信ボタンをタップすると、数分後にメッセージが返ってきた。
『いいね! じゃあ、立川駅の改札の横にある壁画前で、十一時に集合ね』
『了解。土曜日、楽しみにしてるね』
恵菜はスマートフォンをそばに置くと、ベッドの上に寝転がる。
奈美は、都立立日高校の同級生。
高校三年間、同じクラスで、恵菜にとって奈美は、何でも話せる唯一の親友だ。
年末、仕事場で偶然に彼女に会った時、本当にビックリだったけど、これから先、会う機会が増えたらいいな、と思う。
だけど奈美には、まだ話せていない事があった。
それが原因で、二ヶ月以上前の彼女の結婚式は、苦渋の決断をして欠席。
奈美に報告したら、あの子の事だから、アーモンドアイを丸くさせて絶句するかもしれない。
きっと、心配を掛けてしまう。
(奈美の結婚式に行けなかったから、会う前に結婚祝いを買っていこうかな……)
恵菜は、瞼が重くなってきた目を擦りながら、布団の中に潜り込み、眠りに堕ちた。