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リビングの灯りは薄暗く、壁の時計の針の音だけが耳に残る。遥は膝を抱え、息を整えようとするが、すぐに肩を掴まれ、立たされる。


「おい、顔上げろよ。そんなヘラヘラして、バカみたいだぞ」


颯馬の言葉が、胸の奥を打ち抜く。羞恥と怒り、恐怖が混ざり合い、体の震えを止められない。


「おまえ、本当にクズだな。日下部なんか、あんな顔して俺たち見てたら吐くぞ」


晃司の吐き捨てるような声。遥は目を逸らす。心の中で日下部を思う。しかし、思い出すのは優しさではなく、「今、誰もいない」という現実だけ。


身体に触れられる感覚が、記憶と現実を交錯させる。蓮司との関係の時は、どこかゲームや試しの余地があった。だが今は違う。


「嫌なら逃げろよ。どうせ、逃げても何も変わらねえけどな」


颯馬が冷たく言う。声だけで心を締め付けられる。自分の意思は無視され、行動も心も完全に掌握される感覚。


「おまえは結局、何も守れない。最低のクズだ」


晃司の手が、身体の奥に触れ、同時に精神を突き刺す。遥は目を閉じ、息を呑む。痛みと羞恥、恐怖と怒りが渦巻き、自己嫌悪が渦を巻く。


身体は反応してしまう。だが、心は叫ぶ。


「やめろ」


「認めるな」


「こんなもの、愛じゃない」


声にならない言葉が胸を締め付ける。日下部を思い浮かべ、彼の優しさに触れた記憶を探す。しかし、今、触れられるのは冷たい手と吐き捨てられる言葉だけだ。


「……なんで、こんなこと……」


嗚咽とともに涙が零れる。自分を守りたい気持ちと、誰かに繋がりたい欲望が同時に押し寄せ、心の核がひび割れる。


「おまえ、ほんとにクズだな」


颯馬の声。無慈悲。身体も心も支配され、拒否も反抗も届かない。


遥の胸の中で、混乱と矛盾が押し寄せる。日下部の存在は、確かに心の片隅にある。しかし、今、現実として向き合うのは暴力と人格否定。愛されることを知っているはずなのに、無力感と恐怖がそれを塗り潰す。


膝を抱えたまま、遥はただ震え、嗚咽を漏らす。身体を支配されながら、心は崩壊の瀬戸際に立たされる。誰にも救われず、ただ耐えるしかない状況。その痛みの深さが、遥の心の歪みをさらに強固にしていく。



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