テラーノベル
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俺は散歩が日課だ
特に夜に外を歩くと昼と違う街が広がっていて
街が自分のものように感じられる
ふと昔通っていた小学校の近く通ったから
歴史が長く施設が古いのでグランドへ簡単に入れてしまう
フェンスを軽く超えてグランドに降り立つ
そうそうこの砂の色と香り…ドッジボールとかしたなぁ
懐かしさに浸る
そんな時微かに音が聞こえた
ザリ…ザリ…
なにか重いものを引きずるような
砂が擦れる音
音の元を探るため見回すと
グランドの真ん中あたりになにか蠢いている
目を凝らすと
人だ
それもうつ伏せで顔を地面につけて全身芋虫のように動かして顔面を剃って動いている
余りの異様さに後退る
こんな異様なものに近づくまで気付けなかったを深く後悔する
しばらく様子を伺っていると
近づいてきている…
明確にこちらへ向かって這って
鈍重な動きながら確実に距離を縮めてきてる
その事に気づき戦慄した
俺は急いでグランドから逃げ出した
フェンスを越え舗道に足をついた瞬間、背後の気配がぷつりと途切れた
振り返りたい衝動を必死で押し殺し、そのまま走った
夜の住宅街は静かで、さっきまでの出来事が嘘のようだった
息を切らしながら立ち止まり
ようやく振り返る
グランドは闇に沈み何も見えない
——追ってきてはいない
胸を撫で下ろしそのまま帰路についた
だが歩きながら妙な違和感が頭から離れなかった
あれは「俺に向かって」来ていた
目が合ったわけでも声を出したわけでもないのに、
確かに“こちらを認識している”動きだった
家に着き鍵を閉めても落ち着かない
砂の擦れる音がまだ耳の奥に残っている
その夜、夢を見た
広いグランドの真ん中で、俺はうつ伏せになっている
顔を上げようとすると砂が口に入る
体を起こそうとしても腕が言うことをきかない
目が鼻が口が頬が…痛い
ヤスリで顔面を削られるような痛み
背後から同じ音が聞こえる
ザリ……ザリ……
目が覚めたとき全身が油汗で濡れていた
そして砂がひとつまみベッドにばら撒かれていた
それ以来、夜の散歩はやめた
数日後何気なく地元の掲示板を見ていると、
数日後何気なく地元の掲示板を見ていると
こんな書き込みを見つけた
「○○小学校の旧グランドで
夜中に砂を引きずる音を聞いた人いませんか?
人みたいなものを見た気がして……」
返信が一件だけついていた
「いますよ。あれ、気づかれると寄ってきますよね」
続けて別の返信
「フェンス越えました?」
さらにもう一つ
「逃げ切れたなら、今夜はまだ大丈夫ですよ」
スレッドはそこで止まっていた
それ以降
夜道で砂の擦れる音を思い出すたび
俺はあのグランドの“真ん中”を想像してしまう
あそこはきっと
今も誰かが這っている場所だ
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