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「今日のグループワークは、創作!4人で1つの物を協力して作ってね」
「質問。その作るものってなんですか」
「んふふ〜、秘密。みんなで考えながら作っていこう!始め〜」
私の掛け声にみんなは戸惑いながらグループワークを始める。
今回はコミュニケーションを高めるためのグループワークだ。一人で黙々と作業することはできないし、誰か一人でも協力的な人がいないと完成もしない。前回のグループワークでは意見を出す人と聞く人ではっきり分かれた。もちろん人には得手不得手があり、初めての環境ということもあってそうなることに問題はないのだ。なら、個人の特性を活かしてどこまでコミュニケーションを取れるか、意思疎通ができるかが将来の肝になる。
今回も沙良ちゃんと良平くんが活躍している。けれど、それだけでは進まないのだ。どことなく、2人もやりずらそうにしている。
「先生〜。全然わかんないよぉ」
沙良ちゃんが床に伏せながら言う。
茉子ちゃんと藍琉ちゃんは協力的ではないらしい。さらに、武流くんと沙良ちゃんは犬猿の仲だ。この班は難しそうだ。
「全員でやれば絶対にわかるよ。頑張れ〜」
「うん。だから確実にこれを作ればいいんだと思う」
「すごい!答えにありつけた! 」
「まだ完成したわけじゃないよ。全員で完成させよう」
良平くんの掛け声に、全員が応える。こちらの班は進んでいるようだ。
伊吹ちゃんはどうなるかと思ったが、思っていたよりも意見を出してくれた。グループなら話せるという人もいるだろう。だがしかし、伊吹ちゃんは前回聞く側に徹していた。仲のいい人がいる訳でもないのになぜ今回は意見を出せたのか。
「はい。グループワーク終了!みんなどうだった?」
「作れなかったぁ!いや、何を作るのかもわからなかったし…」
「話しは得意なくせに頭はバカなんだな」
「はぁ!?あんただって勉強できないじゃん!」
「そういう頭を言ってるんじゃないんだよ。もっと活用できる…」
「あーはいはい。お得意の言い訳ですよね〜 」
「2人とも。そこまでにしようか」
口喧嘩がヒートアップする前に止める。だが仲裁はしない。
「大切なのは、これはグループワークってこと。完成することが目的じゃない。全員で考えることが大切なの」
お昼ご飯にしよう、と促しながらみんなを見る。沙良ちゃんと武流くんはまた喧嘩しそうな雰囲気だ。
午前中の様子をまとめる。今日は少し雰囲気が暗い。いや、最初が上手くいきすぎていたのだ。人間関係のいざこざはあって当たり前。その中でどう上手く対応できるかが今後の鍵になるのだ。
そして、1番上手く対応できているのは間違いなく希空さんだ。最小限の人間関係を構築し、グループワークでは意見を出してグループという機能を忠実に守る。
しかし、どこか違和感が否めない。なぜ個人同士で仲を深めることは嫌うのに、グループならいいのだろう。いや、グループで仲を深めているわけではないが、少なくとも会話を拒否しているようには見えなかった。グループなら話せて、個人だと話せないという人はもちろんいるだろう。そこは個人の特性による。しかし、どこかに違和感がある。これを直感と呼ぶのかもしれない。
心の中のざわめきがスクールの雰囲気を暗くする