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連休明けの平日の午前中。
圭は、貴重品の入ったボディバッグと小型のボストンバッグを手に、愛車に乗り込むと、カーナビゲーションを予約したホテルにセットした後、車を緩やかに発進させた。
ボストンバッグの中には、美花から返されたネックレスを忍ばせている。
彼女に会ったら、もう一度身に着けて欲しいと、渡すためだ。
連休明けとはいえ、まだ混雑している高速道路。
日程をずらし、平日二日間を休みにして出かける人が多いのだろう。
(突然、俺が来たら…………美花は嫌な顔をするだろうか……?)
ステアリングを握りながら、圭の中に不安が過ぎる。
(いや…………そんな事を考えている場合ではない……)
圭は前方を見据えながら、運転に意識を集中させた。
立川の自宅マンションを出発して約五時間後に、艶やかな黒のSUV車は、宿泊先のホテルに到着した。
チェックインを済ませると、圭はボストンバッグを部屋の隅に置いた後、ソファーにボディバッグを投げ放ち、身体を預けて休憩する。
スマートフォンを取り出し、美花の勤務先『向陽プリントテクニカル静岡事業所』の場所を調べた。
検索結果で、建物の画像が圭の瞳に飛び込んでくる。
新築と思われる小さめの工場は、圭の宿泊先から、車で十分程度の距離らしい。
「とりあえず……行ってみるか」
彼はボディバッグを斜め掛けにして立ち上がり、部屋を出ようとして、不意に思いつく。
ボストンバッグから、ネックレスの入ったジュエリーボックスを取り出すと、ボディバッグの中にしまい、ホテルの駐車場へ向かう。
エンジンを掛け、カーナビゲーションを美花の職場にセットさせると、圭は滑らかに車を走らせた。
夕方のせいか、道路は混雑していたが、十五分ほどで美花の職場に到着。
正門の近くに愛車を止めると、圭は車から降りた。
スマートフォンで検索した際に見た彼女の職場は、実際に訪れてみると、かなり広い敷地で、建物も大きい。
(美花は……いるだろうか……)
おずおずと正門に向かい、工場敷地内の様子を伺う圭。
久々に美花の顔が見れるかもしれない、と思うと、彼の鼓動が次第に大きく脈を打ち始めた。
トラックヤードに、大型トラックが一台。
その前で運転手と思しき男性と、ヘルメットから、明るい茶髪の長い髪を一つに束ね、下ろしている作業着姿の女性が、話しているのが見えた。
女性は、クリップボードを持ちながら、ペンで書き込みしている。
搬入する荷物のチェックをしているのかもしれない。
ヘルメットで表情が見えにくいが、あの金髪のような髪色は美花だと、圭は確信した。
コメント
1件
ああ、もう、やっと動き出したね圭……! 急に静岡まで行くって決めた行動力、痺れるわ。ネックレスを返すって目的があるからこそ、不安そうな心情がすごくリアルで、こっちまでドキドキした。美花が作業着でヘルメット姿って、また新たな一面が見えて嬉しい。再会シーン、どうなるんだろう……続きが気になりすぎる!
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