テラーノベル
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東京へ戻った華子は急に忙しくなった。
まずは取り寄せていた保育士の通信教育講座を申し込み資格取得へ向けての勉強がスタートする。
教材が届くと毎日勉強する時間を決めて計画的に進めていった。
「大学の時は遊んでばかりだったからこんなに集中して勉強するのは大学受験の時以来かも」
そう言って笑う。
そして華子はカフェのバイトは辞める事にした。
バイト募集をかけるとすぐに数名の応募がきたので陸が面接して新しいスタッフが決まった。
今後華子は人手が足りない時だけヘルプで店に入る事になる。
そして華子は陸の恩師でもある高津に紹介される。
高津は妻を伴っての夕食会に二人を招待してくれた。そこで陸は二人の結婚を高津に伝えた。
高津夫妻は二人の結婚を心から喜んでくれた。
それからは結婚式の準備でも忙しくなる。
どんなに仕事が忙しくても陸は式の打ち合わせには必ず一緒に行ってくれた。
今華子は専業主婦なので打ち合わせは一人でも大丈夫と言っても聞かない。必ず華子と一緒に行ってくれた。
二人の式はレストランウェディングでの式にした。もちろん店は陸が経営するフレンチレストランだ。
結婚式の進行等についてはウェディングプランナーに入ってもらいプロの力を借りる。
しかし料理は全て店の自慢料理を披露する事にした。
一日も早く結婚したかった二人は9月の中旬に結婚する事にした。
日取りが決まると二人はすぐにハワイにいる陸の家族や華子の祖父母に連絡を入れた。
もちろん北海道にいる父・慶太にもすぐに連絡する。
華子の父・慶太は既にリハビリを終えて退院している。そして今は以前のように仕事に復帰していた。
銀座のおばんざい屋の相良幸子にも連絡を入れた。
すると相良は、
「華子ちゃんの花嫁姿、しっかり見に行くわよ!」
と泣きながら華子の結婚を喜んでくれた。
もちろん華子の結婚式にはイタリアン弁当店の美羽と美容院の沙織にも招待状を送った。
二人は喜んで出席しますと言ってくれた。そして沙織は当日のヘアメイクもしてくれる事になった。
時間があまりない中での準備だったのに、怖いくらいに全てが順調に進んで行った。
そしていよいよ結婚式当日を迎えた。
式当日の朝、二人はいつものように向かい合って朝食を食べようとしていた。
「新婚旅行は先伸ばしになってしまい申し訳ないな」
「ううん、いいのよ。だって陸は今5店舗目の出店で忙しいんだもの」
「悪いな……」
「それにこの前ハワイにも行ったし…また時間が出来たら今度はゆっくり行きましょうよ」
「ありがとう。おふくろ達も喜ぶよ…」
陸はそう言うと華子が作った朝食を美味しそうに食べ始めた。
しかし華子の方は今日は食欲がない。
胃の辺りが重くムカムカする。
(もしかして結婚式で緊張しているのかしら?)
そう思いながらコーヒーを飲もうとカップを口に近づける。
コーヒーの香りが鼻を突いた瞬間、
「うっ」
いきなり吐き気がしたので華子は慌ててキッチンのシンクへ走って行った。
しかしまだ何も食べていなかった華子は胃がからっぽだったので胃液が少し出ただけだった。
「大丈夫か?」
陸がびっくりして華子の傍へ駆け寄ると背中をさすってくれる。
「うん大丈夫よ、嫌だわ、私ったら緊張しているのかしら?」
「緊張くらいで吐き気が来るか? 風邪をひいてるんじゃないだろうな?」
陸は華子の額に手のひらを当てた。
「熱はないみたいだな……喉は痛くないか?」
「大丈夫」
「とにかく椅子へ座ろう」
陸は華子の肩を抱きかかえて椅子まで連れて行った。
椅子に座った華子は何か考え込んでいる様子だった。そして右手の指で何かを数え始める。
そこで急にハッとした表情になった。
華子は突然立ち上がると陸に言った。
「ちょっと待ってて陸!」
華子はダイニングのチェストから何かを取り出すと慌ててトイレへ向かった。
(また吐き気か?)
陸が心配そうな顔をしていると、しばらくして華子が戻って来た。
「陸っ!」
「どうした? もどしたのか?」
「ううん、違うの、コレ見てっ!」
華子は手にしていた検査薬のようなものを陸に見せた。
「これって」
「そうよ! 私、妊娠したわ!」
陸は驚きの表情になる。華子が手にしていた妊娠検査薬にはくっきりと陽線マークが浮かび上がっていた。
「マジか? 華子っ! やったな!」
「そう! 私やったわ!」
華子は嬉しそうに叫ぶと陸に思い切り抱き着く。それをしっかりと陸が受けとめた。
陸は華子を抱き締めながら今までに感じた事のない大きな喜びをかみしめていた。
「ハワイの夜では妊娠しなかったでしょう? その後帰って来てからもさっぱりで…もしかしたら私は妊娠しにくい身体なのかなぁって少し心配していたの。でも最近は式の準備で忙しくしていたからその事をすっかり忘れていたわ!」
華子はそう言って笑った。
「そうだな…最近は結婚式の準備でバタバタしてたからな…それにしてもでかしたぞ華子!」
「うん、やったわ陸!」
二人はあまりの感動にしばらくその場で抱き合っていた。
陸は華子の額や頬に愛おしそうにチュッチュッとキスの雨を降らせる。
華子はくすぐったそうにそれを受けとめていた。
部屋の中には二人の喜びの笑い声がいつまでも響いていた。
コメント
3件
陸さん華子ちゃん の愛の結晶が華子ちゃんのお腹に宿ったんだね おめでとう🎊㊗️二人なら可愛い天使を囲んで温かい家族になれるね ( *´﹀`* )🫶🏻♥️✨
結婚式当日に、なんと‼️妊娠も判明!!! 華子チャン、陸さん、おめでとう👶🧸💐✨ 二人なら、きっと良いパパ&ママになれるね~❤️
結婚式当日に妊娠判明🤰✨💖凄っ❣️❣️ やったね、華子💖陸さん✨ これは〜たくさんの家族や友人、招待客に混じって、ベビちゃん👶までお腹の中から結婚式に参列してくれるなんて、嬉しさメーターも振り切れちゃうね😅💕💕 華子もちょうどカフェバイトも辞めて自分の時間ができた時だしベストタイミングでの妊娠は本当にWのお祝い🥂💒👰♀️✨で陸さんもパパに〜(*^◯^*)🙌❤️🔥 本当に本当におめでとう🎉㊗️末長くお幸せに👩❤️💋👩