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「ドンレ、お前は、阿片をやっていないのか?」


女官長もそれなりに、悪事を働いているが、どうしたわけか阿片には手を出さなかった。


ドンレは、阿片の出所を知っていたのだ。グソンと妃が手を組んでいると。その後ろには、妃の兄が控えていると。


もし、ここで流されてしまえば、男達の、いや、愛妾《グソン》の裏切りを受けると分かっていたから……。


「お前には無理だろうな。歳だから、体もついてこない。阿片などに手をだせば、すぐに命を落とすことになる。だから、小さくなっているのだろう。そう、あれは、兄王からの餞別じゃ。閉じこめられて、あれこれ指図を受けては、気も滅入るだろうとな」


「だからといって!!」


ドンレは、リヨンをいさめにかかる。


事情はどうあれ、リヨンは王妃。皆の模範にならなければならない立場──。それを……。


だが、堂々と、兄王の名を語られては、流石のドンレも、手も足も出なかった。


リヨンは、得意げに続けた。


「おお、そうだ、かのお方様も、あちらのお屋敷で、阿片漬けになられているとか。それも仕方ないこと。毎日、幻を追っているのだからな」


苦虫を噛むドンレを見越したかのように、リヨンは笑い転げた。


「王妃様!!」


ドンレの叱咤が、細く流れるリヨンの眉をぴくりと動かせる。


「この国の者の顔など見たくない!どうして、私が、お前ごときと言葉を交わさなければならないのだ!」


言い捨てて、リヨンは奥へ下がって行った。


残るドンレは、煮え湯を飲まされた思いで、じっと頭を垂れた。


いつまでたっても、リヨンは東の国、寧国の王女気取りでいる。


表立ってはドンレもこれが限界。飾り物とはいえ、王妃という位には、歯がたたなかった。

朱(あけ)の花びら

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