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第13話:外国から見たサムライ(国軍)とニンジャ(ネット軍)の影
国際展示会の舞台。
広いホールの天井からは緑色の垂れ幕が用意され、
壇上に現れたのは、灰色のスーツに水色のネクタイを締めた大和国の代表者。その背後には、二人の異質な存在が控えていた。
国軍=サムライの代表者
鋭く切れ長の瞳に、濃緑の軍服。肩には鉄鋼の徽章が輝き、腰には形式化された「儀礼刀」を佩いていた。無表情のまま立ち尽くす姿に、観客の外国人たちは思わず息をのむ。
そしてネット軍(ニンジャ)のひとり 。
全身墨染めの軽装に、胸には翡翠色の通信バッジ。目元だけを覆い、会場を静かに見回している。その腕には小型のヤマホ端末が巻き付けられ、背後で誰かが咳をするだけで指が瞬時に動いた。
前列に座る外国記者のひとりは、スーツの襟を握りしめながら呟いた。
「……これが現代のサムライとニンジャか。恐ろしいほど整っている……本当に存在するとは思わなかった。」
別の女性記者は、ラベンダー色のスカーフを巻き、憧れを込めた眼差しを向けた。
「静かに立っているだけで、何かを支配しているみたい……。これが“大和国を守る力”なのね」
壇上では代表者が笑顔で演説を続けていた。
「サムライは領土を守り、ニンジャは空を守る。大和国は、この両輪によって支えられています」
拍手が起こり、会場のスクリーンには「ネット軍が不正通信を遮断」「国軍が未確認領域を守備」と映像が流れる。
しかし、その裏で——
外国からの通信は検知され、会場のWi-Fiはすべてニンジャの管制室に繋がっていた。サムライの立つ背後の扉には、入場者を監視するカメラが仕込まれていた。
表向きは「憧れの安心システム」。
だが参加者の心には、畏怖と尊敬の入り混じった感情が刻み込まれていた。