「あの、……少し、外に出ませんか?」
落ち着いた声音でそう言った総一朗に、両親と一緒に振り返る。
彼がそんな提案をするとは思っていなかったので驚いた。
ぽかん、と口を開けた父が、じわじわと警戒する。
そんな父に言葉を尽くし、母の後押しもあって、ようやく重い腰が上がった。
父はもたもたと廊下を歩き、適当なサンダルを履く。
思いがけない誘いに、驚いているのか、緊張しているのか、気乗りしないのか。
きっとどれもが正解で、だから身を縮めた父の背中が、いつもより小さく見えた。
ガチャン、と懐かしくも独特な軋みを響かせて、玄関扉が閉まる。
閉まった途端、並んで見送っていた母と顔を見合わせた。
「行くわよ」
私が言うよりも先に、母がキラリと光る瞳で宣言した。
「うん」
後を尾けるのは、もちろん二人が心配だから。
誰に告げるでも******
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