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~所長室~
レイの容体はロビンの薬によって良くなっていた。そしてレイが目を覚ます。
「僕はもう大丈夫なの?」
レイの問いかけに所長はこう返す。
「あぁ、ひとまずは大丈夫だ。ロビンのおかげだ。次に会ったらお礼を言いなさい。」
レイはまだ様々な器具が取り付けられており、所長がモニターでレイの体をチェックしている。レイはそのモニターを見つめながら、こう言った。
「サイコロくんは僕のために死んじゃうのか?」
「レイ…? 聞いていたのか。」
「ぼんやりと話を聞いていたんだ。なんで今まで内緒にしていたの?」
所長は少し間を空けてこう返す。
「別にレイが知る必要がないからだ。」
「他にも僕とサイコロくんについて内緒にしていることがあるよね?」
「なんのことだ?」
レイは所長の目をじっと見つめてこう返した。
「僕たちがこの体に生まれ変わる前、僕とサイコロくんは兄弟だった… 俺は弟で、サイコロくんが俺の兄さん。」
「変な妄想だな。」
「妄想なんかじゃないよ。俺が熱でうなされているとき、昔の記憶を思い出していたんだ。俺と兄さんで、二人で生活をしていた時の記憶をね。姿こそ今のサイコロくんとは違うけど、間違いなく記憶の中に出てきた兄さんはサイコロくんだった。なんとなくだけど、そう感じたんだ。」
これまでの幼さが無くなったような口調のレイの発言に、所長はため息をつき、こう返す。
「それが事実だとしたら、レイはこれからどうするつもりなんだい?」
レイは所長の目を見て睨み、こう答える。
「サイコロくん、いや、兄さんと一緒に、この施設を出るよ。」
所長は笑いながらこう返す。
「ハハハ、君たちだけで外で暮らそうってのか?無理に決まってる。それに、私が許すとでも?」
所長は注射機を手に取った。レイが叫ぶ。
「何をする気だ?!」
「君が何も考えなくて済むように、しばらく眠ってもらおうと思ってね。」
「やめろ!!!あんたの思い通りなんてなるもんか!」
「しばらくの間、おやすみ。レイ… 」
薬品がレイの体の中に入っていく。手足をジタバタさせて暴れていたレイであったが、次第に動かなくなってしまった。静まり返った室内で、所長がつぶやく。
「君は私の最高傑作だからな。絶対に手放さないよ… 」