カンちゃん「起きろ。もう朝」カン
カズヤ「痛っ!!起こし方別の無い?」
カンちゃんが俺の頭をつついてきてその痛さで目を覚ます
最悪な目覚めだ。もっと起こす方法は無いのか
朝は気持ち良く目覚めたい
カンちゃん「神格魔法・最光度爆発」
カズヤ「違う!!Soじゃない!!」
カンちゃんは魔法陣をくちばしの先に構築すると巨大な炎をこちらに向けてきた
Soじゃないだろ!!生死は問え!!
この生物は加減を知らないのかよ。知るわけないか
飼い主がめちゃくちゃ加減して国滅ぼすんだもんな。無理だわ
カンちゃん「解除」
カズヤ「はぁ……心臓に悪い」
カンちゃんがこちらに向けていた巨大な炎を消した
こんなことを何度もやってたら寿命が縮む……
これが異世界の現実か……
カズヤ「まだ5時だし……早すぎる。なんで俺がカンちゃんの生活リズムに従わないといけないんだよ」
カンちゃん「健康」
カズヤ「まだ10代だから。今の時くらい自由に寝させてよ」
俺まだピチピチの10代だから。この年で健康なんて気にしてたら自由に生活出来ない
5時起き。現実世界と変わらない……
異世界も現実は一緒か。少し変えさせて貰えないものだろうか
カンちゃん「Zzz……」
カズヤ「お前が寝るな」
俺がベッドから体を起こすとカンちゃんが肩に乗ってくる
肩に乗るなりいきなり寝始めた
こいつ……!!俺のこと起こしておいて寝やがった
もう決めた。絶対に焼き鳥にしてやる
カズヤ「クソが……!!」
俺は渾身の憎悪と怒りを呟くように吐き捨てた。
こいつ寝ると厄介なんだよな
起こしたら頭を確実に削ってくる
そのため、大声を出せない
カズヤ「どうしよう。イライラするし銭湯に行こうかな」
あ、銭湯に行くってなるとこいつ邪魔だな
どうにかして置いてけないかな
やめとくか。それで起こして頭削られるの嫌だから
カズヤ「あ、そうだ。あそこに行こ」
俺はふと頭に浮かんだ場所が良さげだと思ったのでそこに向かう
宿の外に出ると空には雲が薄っすらと掛かってるだけだ
太陽はまだ頭の先が少し見えているだけで、朝焼けが街を染めていた
若干肌寒いけどこれから暖かくなるだろうから、このままでいいか
早朝ということもあり店はほとんど閉まっており、人は一人も歩いてない
一人で街を歩いて向かった場所はウルトルさんの眠る高台
ウルトルさんの墓の前にはカンちゃんがこの前おいた花があるだけ
ナリア以外の人には場所を言っていない。ケールとロイスには言ってもいいか
でも、もうレイデリアを出ちゃうしな。このまま内緒にしておくか。聞かれたら言えばいいや
少しの間、ここにいてリラックスしよ
俺は高台の芝の上に座る。森がすぐ隣にあるため小鳥のさえずりが聞こえる
自然とリラックスできるな。やっぱり自然はいい
そして眺めが綺麗だ。夕焼けも綺麗だったけど朝焼けも負けず劣らず綺麗だ
カズヤ「こういう時間が俺には必要だった。なんで気づかなかったんだろう?」
寝転がろうと思ったが肩にめんどくさいのがいるのでやめておいた
時間を忘れられる。忙しくて時間を忘れることはよくあったけど、こんなことは初めてだ
異世界に来ないと出来ない経験だった
「ヴォォル!!」
カズヤ「…………」
俺が時間を忘れてリラックスしていると後ろから魔物の声が聞こえた
そういえば森すぐ隣だったな。魔物がいるのも仕方ないのか
でもな…………
カズヤ「人がリラックスしてんだろうが!!邪魔すんなよ!!」パンパン
俺はさっと立ち上がりパッと後ろを向く
後ろには3体ゴブリンがいた。俺は空気銃でゴブリン3体の脳天を貫く
正確な射撃が出来るとスカッとする
よし、邪魔は無くなった。続きを…………
カンちゃん「うるさい」カンカンカンカンカン
カズヤ「うわぁぁぁぁ!!!!」
確認のためカンちゃんを見ると白い悪魔は起きていた
そして、俺の頭に5連突きをお見舞いしてくる
あぁぁぁぁ!!!!頭がぁぁぁぁぁ!!!!
そのうち頭蓋骨割れて、脳みそにまで届くぞ
死へのカウントダウンが始まった予感
カズヤ「タヒぬ……!!」
カンちゃん「うるさいのが悪い」
カズヤ「見てました?魔物がいたんですけど……」
カンちゃん「知らん。もう8時」
お決まりのパターンだ。相手にしてくれない
慣れたら相手にされないの気にしなくなるな
俺は気を取り直して芝の上に座る
…………え?もう8時?
カズヤ「な訳無いだろ」
カンちゃん「あの時計見ろ」
カンちゃんがくちばしで指す方を見ると時計台のようなものだ見える
でも、遠すぎて肝心の時刻がはっきり見えない
本当にあの時計8時か?
カズヤ「遠すぎて見えないよ」
カンちゃん「センス無い」
カズヤ「はぁ?」
言うとしたら視力悪いとかじゃないの?
何、センス無いって
語彙力どうなってんだよ
カンちゃん「8時。もう行け」パサパサ
カズヤ「本当だとしたら遅刻だな……ダッシュだ!!……っておい!!飛ぶな!!」
カンちゃんの言う事が本当かは分からないけど本当だったら迷惑をかけているので今すぐギルドに向かわないと
俺がダッシュをし始めるとカンちゃんが俺の肩から飛び立っていった
飛ぶな!!自分だけ先に行くな!!
行くんだったら連れてけ!!!!(切実)
カズヤ「許せない……!!」
俺は飛び去っていくカンちゃんをにらみながら走り続けた
街には人が繰り出していて、俺が全速力で駆け抜けていくと怪訝そうな顔で見てくる
どいてくれぇぇぇ!!!!遅刻してるんだ!!!!
ナリア「あ、来た」
ロイス「どこ行ってたんだよ。もう時間とっくに過ぎてるぞ」
ケール「そんな走ってどうしたの?」
俺がギルド前に着くと三人はすでに待っていた
カンちゃんはナリアの肩に乗って待っていた。この裏切り者が!!覚えとけよ……!!
ここは素直に謝るのが一番正しい
カズヤ「時間潰しで高台にいたら遅刻しました。すいません」
ナリア「カンちゃんから聞いたわ。のんきね」
ロイス「気合い入れろよ。これから災いの騎士の巣窟に行くんだからな」
ケール「カズヤ、切り替えてね」
こいつはマジで……!!
ベラベラと……!!俺のこと売りやがって!!
お前が5時なんかに起こさなければこんなことになってなかった
カズヤ「ハイ。気持ち入れ直します」
ナリア「じゃあ行くわよ」
ナリアの言葉に俺たちはうなずいた。ナリアが先導で歩き始める
気合いを入れていかないと油断は絶対にしてはいけない
カンちゃんはナリアの肩に乗ったままだ
ナリアのところが気に入ったのか?
カンちゃんがいないと肩が軽いな(気のせい)
――――――
カズヤ「ここから先がチェドリア……?」
ナリア「そうね。ここから先がチェドリアだわ」
最短距離でチェドリアに行くため森を突っ切ってきた
森を抜けると目の前には荒廃した平原が果てしなく広がっていた
あるのは破壊された建物ばかり。半壊で済んでいるものもあれば、跡形も無く破壊されているものもある
破壊された建物の残骸が至る所に落ちている。建物の残骸は真っ黒に焦げていて少し殴っただけで壊れてしまいそうだ
白く見えるのは人骨か?死体すら回収されていないのか
草も全く生えていない。地面が剥き出しだ
思ったよりもひどい状況だな……
ロイス「想像を遥かに超えてるな……」
ケール「こんなことに……」
ロイスとケールは目の前に広がっている惨状に言葉を失っている
俺も同じく言葉を失っている。これはいくら神でも罪悪感に苛まれる
俺たちは骸と建物の残骸を越えてチェドリアの中心へと向かう
???「火炎の息吹」
一同「「「!!!!」」」
俺たちが歩き進んでいると後ろから何か迫ってきている気配を感じ、後ろを振り向く
火炎放射が俺たちを飲み込もうと迫ってきていた
俺たちはとっさに反応して火炎放射を避ける
火炎放射が通った地面、飲む込んだ残骸を丸焦げにした
俺がみんなに目を向けるとアイコンタクトで無事だと伝えてきた。全員無事だな
喰らったら骨だけになってたな
カズヤ「そのタトゥー、災いの騎士か」
???「そうだ。あの攻撃を交わすか。中々骨があるみたいだな」
俺が後ろを向くと左手にタトゥーの入った男がいた
早速災いの騎士のお出ましか
こいつらと戦わないで災いの騎士の巣窟であるチェドリアを探索するのは不可能だ
接敵したら倒していった方が良い。逃げたところで至る所にいるからな
こいつはタトゥーが1つしか入ってないから下っ端か
下っ端でも強いから油断は出来ない。現にさっきの魔法の威力はかなりのものだった
ロイス「下っ端だ。でも油断すんなよ」
カズヤ「わかってる」
???「誰が下っ端だって?」
男はそう言うとタトゥーの入った舌を見せた
こいつ幹部か!?舌はわからない
いきなり幹部か……キツイな
でも、俺たちなら倒せるはずだ
ナリア「あんた、まさか亜門?」
アモン「あぁ?……お前、成田か?」
カズヤ「え?知り合い?」
ナリアが男の顔をじっくり見て言った。ナリア、こいつのこと知ってるのか?
男もナリアのこと知ってるみたいだし……ってナリタ?
話が分からなくなってきたぞ……二人はどういう関係だ?
ナリア「こいつは同じクラスの亜門真よ。生き残りがいたとはね」
アモン「こんなことがあるんだな。まさかクラスメートに会うなんてな」
えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
衝撃の事実。腰抜かすかと思ったぁ
ナリアのクラスメートがこんなところにいたのか
しかも、災いの騎士の幹部だとは……
敵なのか?それとも味方なのか?
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