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放課後の小さな部屋。蓮司が机にひじをついて言った。
「最近、SNS見るとさ、つい同い年のやつと比べちゃう。
なんであいつはもう資格取ってんだ?とか。
自分が停滞してるみたいでさ」
遥が軽く眉をひそめる。
「比べても意味ないってわかってても、見ちゃうよな。
俺も成績とか、あいつの方が上だって気にしてた」
日下部が小さくうなずく。
「比べるのって、癖みたいなものだよな。
でも“負けた”とか“遅れてる”って決めてるの、自分なんだよ。
基準なんてほんとはないのに」
蓮司は苦笑して、天井を仰ぐ。
「わかっちゃいるんだけどな。
誰かと比べないで、自分の今をちゃんと見たい」
遥がコップの水を揺らしながら言う。
「じゃあさ、昨日の自分と比べる。
今日ちょっとだけ進んだなら、それでいいじゃん。
誰かの数字より、自分の一歩」
日下部が静かに笑う。
「その一歩を認めてあげるの、大事かもな」
窓の外で、夕焼けが街をやわらかく染めていた。