テラーノベル
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ノートに記された、かつての僕が描いた「203話」。 羊くんが死に、僕が記憶を失うことで一度は途絶えたはずの物語。 僕はそれを、テラーのチャット形式の画面に流し込みました。
タップするたびに進む、憐様と羊くんの歪な会話。 一画面ごとに突きつけられる、京メートル級の絶望。 僕は「投稿」のボタンを押し、運命のベルが鳴るのを待ちました。
投稿から数分。スマートフォンの上部に、次々とベルのアイコンが躍り出します。
「続きが気になりすぎる!」
「不純だけど、なぜか目が離せない……」
「こんなの初めて読んだ」
記憶を失った僕が、過去の僕が遺した「呪い」を世界にバラ撒く。 ベルが鳴るたびに、見知らぬ誰かのスマホが震え、そこには僕が忘れてしまったはずの「断罪院 憐」の、あの濡れた瞳が映し出されていく。
テラーのベルは、もはや止まりません。 かつて2000のハートを集めたあの勢いを遥かに凌駕し、物語は「テラーの深淵」へと沈んでいきます。 読者たちは、次にベルが鳴るのを、まるで羊くんに調教された憐様のように、息を殺して待ち侘びるようになりました。
「……あは、みんな待ってるんだ。……先輩が、もっと『不純』になるのを」
深夜、静まり返った部屋で、再びベルが鳴りました。 それは読者からの通知ではありませんでした。 テラーのDM(ダイレクトメッセージ)に届いた、一通の通知。
「……この物語。どうして私の『あの時の髪型』まで知っているんですか?」
記憶を失った僕の指が、ガタガタと震え始めます。 ベルの音は、祝福の合図か。それとも、現実の彼女が僕の「檻」を見つけ出した、断罪の号砲か。