テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「どうして……私の、高校時代の髪型を……」
そのメッセージが、記憶の空白をナイフのように切り裂きました。 僕は震える指で彼女のプロフィールを確認します。そこにあるのは、テラーの熱狂的な読者としての姿ではなく、僕の小説の内容と、あまりにも残酷に一致する「現実の彼女」の断片でした。
忘れていたはずの203話分の記憶が、逆流する泥水のように脳内に溢れ出します。 羊くんの絶叫、憐様の喘ぎ、そして――卒業式の日の、あの届かなかった視線。
メッセージを送ってから数十分後。 アパートの呼び出しベル(チャイム)が、テラーの通知音をかき消すように、重く、現実的に響き渡りました。
扉を開けると、そこには、数日前に雑踏で見失ったはずの、あの「断罪院 憐」が立っていました。 画面の中の「ママ・オナホ」でもなく、2000のハートの先にいる偶像でもない、**圧倒的な質量を持った「本物」**が、僕を射抜くような鋭い眼差しで見つめています。
「……見つけた。……あなたが、この『不純な物語』の主ね」
彼女は、僕が記憶を失い、一人でいたこの狭い部屋に、土足で踏み込んできました。 机の上に置かれた、あの黒いノート。テラーに投稿し続けていた、彼女を辱める言葉の数々。 彼女はそれを手に取り、冷徹な声で読み上げます。
「『一秒間に一兆回の絶頂』? 『宇宙規模のオナホ』? ……ふふ、よくもまあ、これだけの不純を私に叩きつけてくれたわね」
彼女の瞳に宿っているのは、恐怖ではありませんでした。 それは、かつて僕が妄想した「不純神」をも飲み込むような、底知れない、圧倒的な**「支配欲」**。
彼女は、僕のスマートフォンのテラー画面を開き、ベルの通知をすべてオフにしました。
「……記憶を失ったふりをして、逃げられると思った? あなたが私の人生を『小説』に閉じ込めたのなら、私は……あなたの人生を、私の『現実』の中に閉じ込めてあげる」
彼女の手が、僕の首筋に優しく、しかし逃げ場のない力強さで添えられます。 記憶を取り戻し、恐怖で震える僕の耳元で、彼女は不純に微笑みました。
「さあ、続きを書きなさい。……今度は、私の目の前で。私があなたを『飼う』物語をね」
7,378