涼太Side
阿部が連れ去られて、数週間。何の手がかりも得られないまま時間だけが過ぎている。
今日は照と二人での撮影の仕事。先に楽屋に着いた俺は、机の上に置いてあった駄菓子の袋を開けながら、阿部のことを考えていた。
その時だった。勢いよく楽屋のドアが開き、慌てた様子の照が入って来た。
💛「だ、舘さん!!」
❤️「どうしたの、そんなに慌てて……」
💛「大変なんだ!ふっかが……ふっかが……!」
言葉を詰まらせる照。照が全てを言わなくても、何があったのか分かってしまった。
❤️「もしかして、いなく、なったの……?」
照は涙目で黙って頷いた。
💛「昨日の夕方までは連絡取れてたんだよ。なのに、夜から……」
照が見せてくれたLINEのトーク画面。そこにあるふっかの最後の返事は、昨日の17:49となっている。その後照が送ったメッセージは同じく昨日の20:04。昨日のこの約2時間で、ふっかに何かがあったみたいだ。
💛「始めは、疲れて寝ちゃったのかなって思ってたんだけど。よく考えたら、あいついっつも夜中までゲームやってるよなって。なのにずっと既読つかないから、康二と佐久間に連絡してみたの。どんなに電話しても出ないし、メッセージも既読つかないままだし……それで、ここに来る前思い切って家に行ってみたの。そしたら、今日あいつオフのはずなのに、誰もいなくて……」
早口でそう説明する照。とても焦っていて、涙を零している。……照のこんな姿は初めてだった。
❤️「そうか……心配だな。急いで撮影して、早く探しに行こうか」
撮影は予定よりも随分早く終わり、先に捜索をしてくれていた、ラウール・翔太・康二・佐久間と合流した。目黒は今ドラマの撮影中らしい。
❤️「お疲れ様。先に動いてくれてありがとう、みんな」
🤍「ううん、全然大丈夫だよ!」
💛「ふっかは……?」
🧡「あかんわ、どこ探してもおらへん……」
💙「あいつのいそうなところは大体行ったんだけどな……」
🩷「ちょっと山奥にも行ったんだよ?ギリ人が居そうな小屋とか……それでもやっぱり、全然」
❤️「てことは、やっぱりフリーズとかいう奴に……?」
俺がそう呟くと、みんな一斉に黙り込む。この沈黙が、みんなも同じことを考えていたことを証拠づけていた。
💛「俺が絶対に守るって、決めてたのに……」
🧡「照兄……」
涙を流しながら呟く照。そんな照の背中を、康二が優しく撫でている。
🤍「ふっかさん……あべちゃん……」
ラウールは不安や恐怖、悲しみで泣き出してしまう。俺はラウールの肩を優しく抱き寄せた。
❤️「大丈夫、ラウール。俺たちで絶対に見つけよう」
🤍「うん……うん……」
するとその時、みんなの携帯が一斉に鳴った。ハッとして画面を見ると、目黒からの連絡が来ていた。
🖤「みんな、○○ビルの屋上に来てほしい!これって、たぶん……」
そんな文章と共に貼り付けられた写真には……
💛「これって!?」
ふっかの術の波動と思われる模様が入った壁。
❤️「……行こう、みんな」
俺の言葉にみんなは静かに頷き、荷物を持って走り出す。
ふっかを、阿部を、助け出すために。
(続く)
コメント
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物語がとても面白いです‼️ 続き楽しみにしています😊 待ってます☺️
続き待ってます!