TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

狐の嫁入り、雨のち契約

一覧ページ

「狐の嫁入り、雨のち契約」のメインビジュアル

狐の嫁入り、雨のち契約

12 - 第十一話 あなたの想いに、応えたい

♥

11

2026年02月01日

シェアするシェアする
報告する

澪が震える声で

「朧さんのことが……」

と言いかけた瞬間。

朧は静かに、しかし確かに息を呑んだ。

「……澪さん」

金色の瞳が、澪だけを映している。

「続きを……聞かせてください」

澪は胸に手を当て、勇気を振り絞るように言葉を紡いだ。

「私……朧さんのことが……

好き……だと、思うんです」

「でも……その気持ちが分かってしまったから……

朧さんと……いつかは別れてしまうのが……怖い」

その瞬間、朧の表情が僅かに揺れた。


──驚きと、喜びと、そしてどこか切なさが混じったような。

そんな表情。


「……澪さん」

朧はゆっくりと澪に近づき、そっと手を伸ばした。


けれど、触れる寸前で止まる。

「……私は……

あなたの想いに応えたい」

「……朧さん……?」

「ですが……」

朧は目を伏せた。

「私は……あなたを巻き込んでしまった。

“仮”とはいえ、花嫁として縛ってしまった」

「そんな……私は……」

「あなたの気持ちが……

私への”義務”や”契約”から生まれたものなら……

私は……受け取れません」

澪の胸がぎゅっと締めつけられる。

(……朧さん……そんなふうに思ってくれて……)


澪は一歩、朧に近づいた。

「朧さん」

「……はい」

「私の気持ちは、契約なんかじゃありません」

朧が顔を上げる。

「あなたが優しくて……

あなたが私を守ってくださって……

あなたが……私を大切にしてくださるから……」

澪は胸に手を当てた。

「この気持ちは……私の中から自然に生まれたものです」

「……澪さん」

「だから……

“仮”なんて関係ありません」

澪はまっすぐに朧を見つめた。

「私は……

朧さんが好きです」


その言葉は、雨上がりの空気のように澄んでいた。


朧はゆっくりと手を伸ばし、今度こそ澪の頬に触れた。

「……澪さん」

その声は震えていた。

「あなたの思いが……こんなにも温かいとは……」

澪の頬を包む手が、ほんの少しだけ震えている。

「私は……あなたを大切にしたい。

契約ではなく……私自身の想いとして」

澪の胸が熱くなる。

「朧さん……」

朧は澪の手をそっと握った。

「あなたを”本当の花嫁”として迎えるには……

越えなければなさないことがある」

「……越えなければならないこと……?」

朧は静かに頷いた。

「澪さん。あなたを守るためにも……

真実を話す日が来ました」

澪は息を呑む。

(……真実……?

朧さんが抱えている”何か”……)


ふたりの指が、しっかりと絡んだ。

狐の嫁入り、雨のち契約

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

11

コメント

5

ユーザー

やっとくっついた~~❕

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚