コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
《8:00》
「ん~~~、もうちょっと寝てたい……」
アオイは布団の中でごろごろと丸まりながら、しばらく葛藤していたが、意を決して起き上がる。
目の前にはユキちゃんがスヤスヤと眠っている顔。
「……可愛い。」
思わず頬が緩みつつも、そっと布団を抜け出す。まだ眠りたいけれど、朝ごはんを作らなきゃいけないのだ!
部屋の外に出ると、霜が降りた山の冷たい朝。空気がひんやりしているが――
「あったかーい!」
アオイが両手を広げてひらひらとスカートを揺らす。支給された魔法の服は、寒さ知らず!
しかも、スカートで足が出ている部分もぬくぬく快適!これはポータブル暖房と呼んでも過言ではない。
「スカートなのに寒くないってすごいよね。最高!」
そんな調子で外の冷気を楽しんでいると、ちょうどおじいちゃんが出てきた。
「おはようございます、マスター!」
「お、起きたか。早いのぅ。」
「はい、朝はユキちゃんのために準備しなくちゃですから!」
「うむ。今日はワシが出かけるから、朝ごはんの支度はお前に任せるぞ。」
「任せてください!」
「あと、ユキの前では『おじいちゃん』と呼ぶんじゃぞ。」
そう言っておじいちゃんは出ていった。
「よーし、頑張るぞー!」
冷蔵庫を開けると――見たことのないカラフルな卵や不思議な食材がぎっしり。
「え、この卵……すごい毒々しい色してるけど大丈夫なのかな……」
少し味見をしながら、試行錯誤していく。
「でも……これが楽しいかも!」
《9:00》
「ふぁ~。」
「ユキちゃん、おはよう!」
ユキちゃんがパジャマ姿で目をこすりながら出てきた。
「おはよう!おかぁさん!」
「あ、顔洗ってきてね?」
「はぁい!」
トテトテと流し台に向かうユキちゃんの後ろ姿に、思わずにっこり。
「可愛いなぁ、ほんと……。」
今朝のメニューは「なんちゃってベーコンエッグトースト」。
不思議な食材で作ったけれど、なんとか形にはなった!
「これ、ユキちゃん気に入ってくれるかな……ドキドキする……。」
シャーッと水の音が聞こえてくる間に、お皿をテーブルに並べて準備完了。
「わぁ!何これー!」
気が付くとユキちゃんが戻ってきて、テーブルを見て目を輝かせていた。
「えっとね、ベーコンエッグトーストっていうんだ。食べてみる?」
「食べる!」
「ちょっと待って!まずは『いただきます』をしなきゃ。」
「いただきます?」
アオイは手を合わせて教えてあげる。
「こうしてね、このごはんや材料になった命に『ありがとう』って言うんだよ。」
「わかった!せーの――『いただきます!』」
ユキちゃんがトーストにフォークを刺して一口食べると……
「おいしい!!」
「よかったぁ!」
アオイは心底ほっとした顔で、ユキちゃんの口元についた黄身を布巾でそっと拭う。
「ありがとう!」
ユキちゃんが元気よくお礼を言ってくれるたびに、アオイの胸がほわっと温かくなる。
「ユキちゃん、いっぱい食べてね。」
「えへへ!おかぁさんのも食べていい?」
「じゃあ半分こしようか?」
黄身がかかったトーストを半分に分けて、二人で仲良く食べる。
「ありがとう、おかぁさん!」
「ふふっ、こちらこそ!」
ユキちゃんの笑顔が可愛くて、此方も自然とほころぶ。