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もあ
44
鬼霧宗作
50
#復讐
りう。
45
さぶれ-SABURE-
1,239
二カ月ぶりにタウンハウスに戻ったメリーティアは、さっそく自室のベッドに倒れ込んだ。
好きでもない男と長期間ずっといっしょにいるのはさすがに堪えた。ケイリクスに離宮に囚われていた頃よりは随分マシだが、それでも心がすり減るのは変わりない。
だが、どちらかといえばこれからが本番だ。
これまでは復讐の前座にすぎなかった。
残りのふたり、モナとケイリクスの命を刈り取らなければメリーティアの復讐は終わらない。終わることなどできない。
主にこのふたりが、前回の人生を地獄に変えたのだ。
ネビルやトリーはモナが扇動してなければあそこまでのことはしなかっただろう。ヨハンセンは言いなりになっていただけで、すべての元凶はモナだ。
しかし息子を皇帝にするという悲願を絶ったため、すでに復讐の半分は終えたようなものだった。
だが放っておくことはできない。モナが生きているままでは、メリーティアは安心してニルス神のもとへ行けないからだ。
あとはただ、彼女がのうのうと生きていくのが我慢ならないという純粋な憎悪だった。
前回の人生で殺された家族とグウェンダル、それから自分の心を救うためにも、モナを地獄へ堕とさなければ気が済まない。
そしていちばん許せないのは、グウェンダルとの子を殺したケイリクスだ。
今でもあのときのことを思い出すと、胸がどろどろしたもので埋め尽くされて重くなる。普段は記憶の片隅の奥のそのまた奥にでもしまっておかないと、復讐を終える前に心が壊れてしまいそうだった。
あの子と同じ苦しみを与えてやりたい。ありったけの絶望を味わってから死んでほしい。
(どうすれば皇帝を地獄へ堕とせるかしら)
ふと思い浮かんだのは、メリーティアが前回の人生で死ぬ間際の光景だった。
(あのときの顔は傑作だったわね)
メリーティアを失うというだけのことで、あれほどうろたえる男だ。
もっともっと好きにさせてから捨ててやったら、どんな顔をしてくれるだろう。あたかも自分を愛しているかのように振る舞っていた女に殺されたら、幸せと絶望の落差で狂うところが見られるだろうか。
(ああ、楽しみね)
不意にノックの音が響き入室を許可すると、侍女が木箱を持って入ってきた。
「ハイゼンベルグ侯爵様からお荷物が届いております」
受け取って箱を開けてみる。
――『ヴィネコット』だ。
アイボリー家から前回同様に「マイルズの補佐官試験合格祝い」と称して贈られてきた、と同封された手紙に綴られている。
前回はトリーが贈ったと言っていたが、今回はアイボリー家が直々に贈ってきたようだった。彼らはモナに脅されている立場だろうけれど、悪事の片棒を担ぐというなら容赦はしない。
だが、ひとまずほっと胸を撫で下ろす。
メリーティアがどれだけおかしな行動をしたとゴシップ誌で騒がれようと、あの日の言葉を信じて『ヴィネコット』を開封せず届けてくれた父に感謝した。
おかげで前回の二の舞にはならなそうだ。
「これは厳重にしまっておいてちょうだい。きっといつか、開けるのに相応しい日がくるわ」
「かしこまりました」
ヨハンセンが廃嫡されたため、皇位継承争いのことで家族が害されることはもうないだろう。
しかし今回のことで完全にモナから恨まれたため、メリーティアをハイゼンベルグ家もろとも潰そうとしてくる可能性がないとは言えない。
どちらにしろまず片づけるべきはモナだ。
(でも、ちょっと疲れたわね……)
メリーティアは侍女を下がらせると、食事をするのも忘れて昏々と束の間の休息を貪るのだった。
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