コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
輝石は七色が綺麗に混ざり合った見事な虹色で、それはどんな願いも叶えると言われているものによく似ていたっす。いやきっとそれその物なんすね。私の魔術士になる願いはもう叶ったっすから。
「おまけではあるが、その輝石には俺の友達の白いエレメントも封じ込められている。お前の力になりたいんだとよ」
輝石からは白のエレメントとそれを囲むように虹色に映る光が取り巻いている。
「でも、このスタッフは──」
「あー、その、あれだ。魔術士はだな、成長した弟子に杖を贈るそうだ。そして俺は大魔術士だからな、太っ腹だ。スタッフとローブ、それにブーツも。それらは俺から可愛い弟子へのプレゼントだ」
今度こそ、嬉しくって涙が出てくる。スタッフをぎゅっと握りしめて。
「じゃあ私も、藍は耳ですけど、黄色の支払いをするっす。何がいいっすか?」
いっそこのままダリルさんと一緒にいるのもいいっすね。そんな事を言ってくれたら嬉しいっすけど。ここで金とかいう人っすかねー。
「じゃあ……そうだな、頭を撫でさせろ。俺の好きな時に、だ」
明後日の方を見ながらそんな事を言ってくる。
キョトンと。それはいつも私を和ませるためにやっていた訳じゃなくて……?
「お前は──俺が、過去に救えなかったひとつなんだ。だから、その、だな。たまにでいい。そうさせてくれ」
「まったく──やっぱりうさ耳マニアの、変態っすね。仕方ないっすから許可するっすよ! 有り難く撫でてくださいっす!」
そのダリルさんの言葉は少し分からなかったけど、それでいいなら、ウィンウィンの関係ってやつっす。
世界から隔離されたようなスウォードという街がある。この街は他国と切り離すことによって、仮初の平和を保っている。ここで争いなど極めて少なく、最近有名になってきた巨人とチョロフが大暴れしたりするくらいでしかない。
そんな平和を謳歌する街でここ最近大魔術士が誕生したという。この街に魔術を使う者はいるものの、それでもその種類はひとつやふたつがせいぜいである。
けれどその大魔術士は召喚を除いたあらゆる魔術を使いこなせるという。まだ可能と言うだけで、実際に全てをやってみせたわけではないが、それだけ適性があるだけで大魔術士と呼んで差し支えはないだろう。
そんな大魔術士が凄い理由はもうひとつあって、これまで種族的に魔術を扱えないとされてきたラビ種であるというのだ。