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『…………今度の金曜、俺は、店舗の視察で、立川のデパートに行くんだ。その後でも大丈夫か?』


(立川に視察……?)


彼の中に、ふと疑問が残る。


(廉の会社『Hearty Beauty』は、都内しか店舗がなかったと思ったが……)


拓人は、思った事をストレートに伝えると、廉は画面の向こう側で、ハハッと軽快に笑う。


『…………うちも一時期、売り上げが激減したからな。今は、二十三区内だけでなく、首都圏の百貨店にも出店し始めている。立川のデパートは、都下第一号店で、四月にオープンしたんだ。三ヶ月経ったから、様子を見に行くってところだ』


「…………そうか」


『…………拓人は……相変わらず渋谷で……一人暮らししてるんだろ?』


どことなく、探りを入れているような廉の言い草に、彼は舌打ちをしそうになった。


「いや…………ワケあって、今…………立川でホテル暮らしをしている」


『へぇ。立川か。偶然だな』


「デパートのすぐ近くに、大きなホテルがあるだろ?」


『あっ……ああ、そういえばあったな。かなり大きいホテルだよな? だったら……』


(この口ぶりだと、吉と出そうだな……)


拓人は、思わずニヤけてしまい、画面から顔を離すと、んんっと咳払いをする。


『二十時頃になるが、久々に会うか。その日は直帰で予定を組むよ』


廉の答えに、『ヨシッ!』と漏らしそうになった拓人だが、努めて冷静を装う。


「じゃあ決まりだな。宿泊フロアの最上階にあるロイヤルスイートルームに滞在しているから、二十時にホテルのフロントに寄ってくれ。ロイヤルスイートは、俺が滞在している部屋だけだから、すぐ分かると思う」


『了解。じゃあ、今度の金曜な?』


「ああ。じゃあな」


通話終了のアイコンをタップすると、彼はスマートフォンの電源を切り、ソファーに放る。


(金曜日に……全てハッキリさせてやる……!)


拓人は、ガラス製のスライドドアに映る青空を見やりながら、前髪をざっくりと掻き上げた。




拓人が電話を切った直後、ベッドルームの扉が開かれると、優子がバスローブを羽織り、つたない足取りでメインルームへ入ってくる。


「起きたか」


「…………」


女は、拓人と眼差しを交わさず、コクリと頷く。


「そうだ。あんたに言っておかなきゃならない事があるんだ」


彼は外の景色に向けていた眼差しを、ゆっくりと優子に移した。

暁光の最果てまで向かって

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