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「ダリルぅーーー! 会えるのは嬉しいけど、おしっこしとる時に引っ張んのはやめてえな⁉︎ 間に合うたからよかったけど、めっちゃ岩にしがみつくの大変やってんで⁉︎ つーかダリルのパワーで引っ張られてあんなけ耐えたんを褒めてえなっ!」
うさ耳たちが作った砂山を潰して砂まみれになっていたのは人魚のクローディア。怒っているのか喜んでいるのか分からない。
「トイレは若干アウトだった気もするが、お前に会いたかった。」
「そうなん⁉︎ な、ならしゃあないなぁ。ええよ! ダリルやし許したるっ!」
「えええ、人魚っすか⁉︎ 食べられるんすか⁉︎」
「食べれるわけないやろっ!」
食べられない魚に興味のないうさ耳と、黄色い液体を撒き散らしていた人魚に「えんがちょ」と言ったきつね耳はまたも砂で山を作っている。今度はさっきよりも大きくて、周りには大きく”GO!!“と描かれてある。
「ほんで、今日はうちになんの用事なん?」
「少し聞きたいことがあってな。人魚の肉についてだ」
クローディアはダリルの膝の上で首に手を回している。
「ええっ? ダリルまでうちの事食べるつもりなん⁉︎ ベッドの上でなら歓迎やけど、食べられるのんはかなわんわ」
サツキは2人の姿勢にドキドキが止まらない。
ビリーは既に大人の人魚からケモ耳たちへと興味を移している。
「俺はいらん。だが外でな、不死の噂を聞いて人魚の肉にそんな効能があったとかでは無かったかと気になったのだ」
「あー、そういうこと」
「昔にそういう言い伝えがあった筈だ。分からないか?」
うーん、と口に人差し指を当てて考える人魚。
「あれはね、全くのデマやで。ダリルは知っとるけど、うちらも普通に歳とるし死ぬわ」
「そうだな」
「ただ陸のもんより若い時間が長いのんと、寿命も長いからなぁ。そんで滅多に陸に上がらんからたまに見た陸のもんが勝手に不老不死っちゅーて騒いだんやわ。不老不死って憧れなんやろ? うちには分からへんけど。ほんでその憧れが行きすぎて、人魚の肉を食べれば〜なんて言われたんや。昔に何人かそうやって攫われたらしいけど、陸のもんに今不老不死っちゅーのはおるのん?」
口元に指を当てて聞き返す人魚があざといとうさ耳は思うが、砂山に貝殻をいくつも埋めることで紛らわせている。
「いや、そういう者がいるとは聞かないな。」
「せやろ? ほんならそういうことや。うちが保証する。人魚の肉なんて迷信や。そんなん食うなら死海魚でも食うた方がええよ」
「死海魚? 何だそれは」
ダリルが話に食いついたと見て人魚はさらに身を寄せしっとりした肌をこすりつけるように体をくねらせる。
「うちらの天敵や。魚っちゅーてもあれはそういうのんとはちゃうねんけどな。まあ亡霊とかの類やし、出会えるもんでもあらへん」
「とはいえ名前が出たということは、不老不死の情報に近いのではないのか?」
話を聴きながらうさ耳は砂山の中にウニの殻を詰めていた。