朝、ホームルーム前。
廊下の窓を見つめながら深く息を吐いた。
💙 (……昨日、あいつに会っただけで、なんか疲れた)
昨日の放課後、ゲーセンで偶然あった深澤辰哉。
距離が近くて、やたら懐っこい。
💙 (ただでさえSnowManってので目立つのに、一緒にいたら余計目立つじゃんか)
もう関わりたくないと思いながら、教室へ向かおうとしていたその時だった。
💜「でさ〜、その後すぐにバレてさ、俺だけ怒られんの!」
🩷「そりゃお前が一番目立ってたもんな」
校舎の中央ホール、大理石の柱の前に、SnowManのメンバーが数人集まっていた。
目立つ存在。整った顔立ちに、洗練された制服の着こなし。
そして、ただ立ってるだけで注目を集める、王族のような雰囲気。
💙 (金持ちで顔もいいとか、人生勝ち組じゃん)
昼。
白を基調にした高級感ある食堂、テーブルには並べられた本日のメニュー。
国産牛のロースト、トリュフ入りオムレツ、季節野菜のポタージュなど、豪華なメニュー。
しかも、特待生である俺は、これらが全部”無料”。
💙 (……こんな世界、やっぱ馴染めるわけないよな)
トレイを手に静かに奥の窓際の席に座った。
あまり食欲も湧かず、ナイフとフォークをぼんやり握っていた。
💜「よっ、庶民くん。」
その声に、俺のフォークがカチャリと皿に当たる。
💙「……っ!なんで、また…」
振り返ると、いつもの笑顔でトレイを片手に立っている深澤。
💜「どこで食ってんのか気になって探した。空いてんじゃん、ここ」
💙 (勝手に座るなよ、勘弁してくれ…)
💜「1階で食うの初めてだわ、ここもいいな」
何食わぬ顔で向かいに座る深澤。
ちなみに、この学園の食堂は1階と2階に分かれている。
2階は1階を見下ろすような設計になっており、明らかに特別感のある空間。
そこは“SnowMan”をはじめとした、ごく限られた一部の生徒だけが利用できる専用席になっている。
そのため、1階で深澤が食事をしているというだけで、生徒たちの視線が自然と集まってしまう。
まるで王族が一般席に降りてきたかのように──。
💙「ほんとに、なんで…俺なんかに関わってくるんだよ……」
💜「”なんか”じゃないっしょ。君、けっこう面白いんだよ。喋るとちゃんとツッコむし、俺のこと見てすぐ顔赤くなるし」
💙「は?してねぇし!」
💜「ほら、それそれ」
💙「……ほんと、ウザい」
💜「お、照れた?」
💙「してねぇ!」
笑いながら頬杖をつく深澤。その余裕にますますイライラしてくる。
──
💜「なぁ、庶民くん、これうまいぞ?食ってみる?」
💙「大丈夫。それと、”渡辺”です。ちゃんと名前あります」
俺は苦笑いを浮かべながらも、学園内という意識から、今更遅いが敬語で話す。
💜「え、あぁ…ごめん。名前知らなかったんだよね。最初から”庶民くん”で覚えちゃったからさ」
💙「いや……それにしても、SnowManの人達って、生徒の名前とか家柄とか全部把握してると思ってました」
💜「ははっ、誰がそんなの全部覚えるかっての。俺、興味のあるヤツのことしか見てないよ?」
さらっと笑ってそういう深澤に、思わず言葉を失った。
“SnowManは全部知っている”──そんな幻想が、あっけなく崩れていく。
💜「白雪狩りも、別に全員が関わってるわけじゃない。俺はほとんど関係ないし。てか、基本社会の動きでさ、”あぁ、あの子やべぇな”ってなったら、誰かが動くってだけ」
💙 (……知らなかった。もっと冷たくて、全部管理されてる世界だと思ってたのに)
ほんの少しだけ、SnowManの印象が変わった──そんな気がした。
しかし、ふと周囲に目をやると、学園の生徒たちがこっちを見て、コソコソと話してるのがわかる。
「ねぇ、あの子、深澤様と仲良いの?」
「同じ高等部の1年みたい。高校から入った子じゃない?」
俺の背中に、冷たい汗がつっと流れた。
💙 (やば、目立ちたくないのに……何やってんだ俺)
そんな俺の気持ちなんて気づいてない深澤は、幸せそうに牛タンを噛みしめていた。
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