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裏神。
それは、香坂慎太郎率いる薬物売買系マフィアであり、もともとメキシコマフィア「マッドカルテル」という組織の日本支部だったが、トップの香坂が反逆。まったく新しい組織となった。
そして、様々な地域、組織から構成員が集まり、あっという間に巨大組織となった。
しかし、事件が起こった。
それは、幹部陣を集めた会議の時だった。
「魅力的な幹部の皆さまが揃って、私は感激です」
そう語るのは、リーダーの香坂。
彼の前には、縦長の机に揃う幹部の面々。
「香坂さんよぉ、俺と深瀬はめっちゃ戦いたい気分やねん」
戦いたいオーラを醸し出すのは、兵庫から来た男、鳳崎桔平とその友人深瀬大也だ。
「香坂さん……あんたはどこまで有能なんだ?」
そして、知能系半グレ反町琥治郎と部下の烏丸瑞紀。
さらに、マッドカルテル時代からの香坂の部下、辰巳春希とタンタンだ。
「さて、今回皆さまに集まっていただいた理由は……おや?」
香坂が話を切りだそうとした次の瞬間。
突如、大規模な揺れがアジトを襲った。
「なんやぁぁあ!?」
地震だ。それも、かなり強いものである。
そしてなんと、アジトのビルが崩落し始めたのだ。
「流石、地震大国日本。いきなり私達はお終いですね」
「なんでそんな冷静なんですか!?」
ビルは崩れ落ちた。裏神幹部達も、それに巻き込まれてしまった……。
しばらくして、香坂が目を開けた。
「おや……なんですかねここは」
そこは、どこか分からない海岸だった。周りには、同じく目を覚まし始めた幹部達がいた。
「なんやここ……天国かいな?」
「いや鳳崎さん、俺らは天国行かれまへんて」
タンタンが頬を引っ張る。
「痛い……僕達生きてるらしいよ」
その時だった。辰巳が何かを見つける。
「ん? 何だあの建物は」
それは、立派な建造物だった。大きさから考えるに、何かの基地であることはわかった。
その時、反町が口を開く。
「あれは……鎮守府? 帝国海軍の基地がなぜあるんだ?」
「あ? なんやお前歴史も出来るんかいな」
「少なからずはな……それより、あれは何十年も前の建物だ」
反町がブツブツと何かを考えていると、タンタンが何かを思いついた。
「……あ! タイムスリップってやつ?」
「非科学的だ。それに、あそこに見える住宅街は現代的な物だ……だとしたら、この世界はなんだ?」
そんな時だった。
「泥棒! 私の鞄返して!」
叫び声が聞こえてきた。声の方向を見ると、鞄を持ったガラの悪い男と、それを追いかける少女の姿があった。
それを見た鳳崎は、もう動いていた。
猛ダッシュで男の前に立つと、鋭い眼光を向ける。
「なんだてめぇ!」
「おい、女子から盗みを働くとか、男としてあかんやろ」
しかし、男はナイフを取り出した。
「どけよぉ! ぶっ○すぞ!」
そして、男は鳳崎に向かってナイフを振り下ろす。
「大振りや……」
しかし、ナイフが彼に当たることはなかった。
「吹き飛べやぁ! 八極拳ドカァァァン!!!」
彼は男に八極拳を放った。男は悲鳴を上げる間もなく、吹き飛んでいった。
「さぁて……これやな」
鳳崎は男が落としていった鞄を拾うと、少女にそれを渡した。
「嬢ちゃん、取り返したです」
「あ……ありがとうございます!」
彼女は深く礼をした。そこへ、他の裏神メンバーもやって来た。
「おお、流石鳳崎さんの八極拳ですね。魅力的な威力をしている」
裏神メンバー達を見た少女は、彼らが放つオーラを感じ、彼らがただ者ではないことを察した。
「あ、あの。皆さまは一体……?」
「あぁ、自己紹介ですか」
彼らは簡単に自己紹介を済ませていく。
そして、聞き終えた少女も自己紹介をする。
「私は、舞鶴鎮守府所属艦娘『吹雪』と申します!」
吹雪と名乗る少女の自己紹介を聞いた裏神メンバーの頭に、いろんな言葉が巡った。
「舞鶴だと……!? さっきまで俺達は関東にいたはず!」
「艦娘って何や? 深瀬知っとるか?」
困惑する彼らを見た吹雪もさらに困惑した。
「えっ、関東? 艦娘を、知らない?」
困った彼女は、鎮守府にいる彼女の上司に連絡をした。
「あっ、伊勢さん……なんか今、私の目の前によく分からない男の人たちがいて……なんか艦娘のこと知らないって……はい……え? わかりました……」
そして、彼女は裏神メンバー達に口を開いた。
「み、皆様。ちょっと聞きたいことがあります。分からないことをついでに教えるので、ついてきてくださいますか?」
「お、教えてくださるのですか。いいでしょう。皆さん、ついていきますよ」
そして、皆は鎮守府に向かって歩き始めた……これが、物語の始まりであった。
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鳳崎さんのセリフ「取り返したで」が「取り返したです」になってます……。すいません。