テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,325
「よっ…ほっ…おっ?ウッ、あぁぁあああ‘’!」
「いってて…あぁー、やっちゃった」
柚木しおり。階段から物を落とした。
「あちゃちゃ…この棚もう使えなくなっちゃったなぁ…」
「なんかすっごい音したけど大丈夫?」
奥から恭介が顔を出してくる。散らばっている棚の部品を見てかけよってきた。
「なにこれどうしたの…」
「棚を運んでたら落として…バラバラになっちゃった」
「しおりは怪我ない?」
ないよーといいながら破片を集める。床に傷が入っていないかチェックしようと、掃除したばかりの床を撫でる。
昔ながらの、木目が特徴的な板材は、どこか優しさと温かさを感じさせる。幸い傷は付いていないようだった。
「2日で掃除終わらせるとか…すごいね。しおり」
恭介が破片を袋に入れながら言う。
私もびっくりしている。2日で掃除が終わり、今は引っ越すための家具の搬入をしているのだから。
「でも掃除だけだよ。1階を早くリフォームしたい」
「業者と話は進んでるの?」
「うん。大体の形は決まったよ。今日の午後から外に階段をつけてくれるって」
外に階段?とおうむ返しをする恭介。
「うん。私が玄関から入ったら変かなって。違う出入り口もつけたいと思ってたの。廊下に大きい窓があるから、そこから出入りできるようにするんだ」
「へぇ、すごいね」
恭介は感心しながら私のことを見る。そして、1階はどんな感じにするの?と聞いてきた。
「居間と縁側が繋がってるから、そこは変えないんだけど、個室を何個か作ろうかなって」
「個室?コンテナも買うんだろ?」
「うん。でもコンテナだと個人で勉強したい子が多かったら足りないから」
たしかに…と頷く恭介。
コンテナの買取は今週の土曜日にする予定だ。ピアノとカウンセリングルームを併設するために防音のコンテナを2個買う。
「現実的になってきたな。お前の夢も」
「うん。でも、これからだよ」
フリースクールができても、子供を安心させてあげられなかったら意味がない。心の拠り所になれるよう、私も成長しなければならない。
今は6月の上旬。業者さんによるとリフォームは1ヶ月を要するらしいから、家具の搬入ができるのは早くて7月からだ。それまで私がするべきことは、これからのために貯蓄をすること。
「リフォームとかコンテナとか家具とか、色んなものでお金使ってるし。これからはバイトとかカウンセラーとして並行してやっていかないと」
「しおり、あまり無理はするなよ?体を崩したら意味が無い」
恭介の言葉を聞いて、向き直る。
「大丈夫。それは私が1番わかってることだから」
私の新生活もスタートしそうだ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!