テラーノベル
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由天。
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46話 違う発音
教室。
朝の光が、
窓から入る。
机は並び、
椅子は揃っている。
友だちが、
音読する。
言い方が、
少しだけ違う。
リカは、
顔を上げる。
意味は、
同じ。
耳だけが、
引っかかる。
先生は、
止めない。
「続けて」
声は、
そのまま進む。
黒板。
文字が、
書かれていく。
同じ言葉。
でも、
形が違う。
丸い文字。
角ばった文字。
音の近い並び。
間の取り方。
先生は、
振り返らない。
消さない。
直さない。
「どれも、
使っていい」
リカは、
ノートを見る。
自分の字。
隣の字。
少し違う。
でも、
読める。
友だちが、
小さく笑う。
「それでも、
伝わるよね」
誰も、
否定しない。
先生は授業の終わりを示すため
手をたたいた。
音は、
一つ。
でも、
聞こえ方は、
それぞれ。
黒板には、
いくつもの書き方。
教室は、
静かに進む。
違いは、
そのまま。
意味だけが、
残っていた。