昼休みが終わり、図書館からのろのろと教室に戻った。気まずさが胸に残っていて、教室のドアを開けるのをためらう。
けれど、チャイムが鳴る寸前だったため、意を決して教室に入ると、案の定、すぐに視線が集まった。
モブ1「えっ、ちょっと待って。渡辺くん、深澤様とお昼一緒に食べてたよね?」
モブ2「…もしかして知り合い!?どういう関係?!」
モブ3「え、深澤様と一緒にご飯とかやばくない?なんで?!」
突然、何人ものクラスメイトが席に押し寄ってきて、思わず椅子を引く。
💙「いや…あの、偶然っていうか…たまたま……?」
モブ1「たまたま一緒に昼食はないでしょ!」
💙「いや、ほんとに、あっちから声をかけてきて……」
心臓がバクバクして、頭が真っ白になる。
変に言えば広まるし、ゲーセンで会ったことは絶対言えない。
💙 (どうする……どうにか、無難な返し…)
💙「……俺、深澤さんのファンで、声かけたら、優しくしてくれただけっていうか…」
俺の口から出た言葉は、自分で驚くほど恥ずかしい。
クラスメイトらは、一瞬沈黙してから
モブ「あ〜なるほど!それでか〜!」
と納得したように頷いた。
💙 (はぁ…焦ったぁ)
やっと授業も始まり、教室は静けさを取り戻した。でも俺の心は、ずっとざわついたままだった。
放課後。空は淡くオレンジ色に染まっていて、校舎の影が長く伸びている。
俺は周りを気にしながら、人気のない階段を登り、立ち入り禁止の屋上の扉の前に立った。
💙(あれ、鍵開いてる…)
ちょっとだけと扉を開けると、風がふわっと吹き抜けて髪が揺れる。
💙「……誰もいない、か」
フェンス越しに見える景色に、心がすっと軽くなった。昼の騒ぎも、教室の視線も、今だけはどこか遠くに感じる。
誰もいないことを確認して、深く深呼吸してから、歌い始めた。
💙「〜♪」
小さな声から始まったメロディは、次第に伸びやかになり、風に乗って空に広がっていく。
💙「ふぅ…きもちぃー」
肩を伸ばし、少しリラックスしてから屋上を出た。
??「……」
NEXT→♡100
♡とコメント待ってます!
コメント
4件
誰に見られてたんだ!?
翔太の歌声を聴いていたのは誰なんだろう🤔