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君の体温も。
その仕草も。
その声も。
全部嫌いだ。
「オマエキライ」
「はいはい、俺もキライ〜」
「ムキイイィィィィ!!!」
「猿かっての。飼育員さん、脱走してますよ〜?」
「俺は飼育員じゃない…」
「え?飼育員じゃなくても飼い慣らせって、この猿くらい…」
嫌いだ。
この舐めきった態度。
「実は病気持ちでな。本人からの希望で隠していたんだが、重症化して入院することになった 」
「おお、早速お見舞い来てくれたん?」
「お見舞いじゃない」
「……ははっ、じゃあなんだよ」
「遊びに来てやった。暇してそうだったから」
「お前、ほんと何もかもが素直じゃねーな。土産は?」
「本当に図々しいなオマエ」
「…おい来たぞ」
「……ん、ああ。なーんだぁ、お前か。」
「調子は?」
「まあまあって感じ…。」
「………顔色悪いぞ。呼ぶか?」
「いいよ、大丈夫。ありがと」
「…そっか、 」
「…はよ。元気してた?」
「これ、新刊。俺もハマったんだよな。一気読みしたわ 」
「静かにしてたら顔、キレーだよな、オマエ」
「もうちょっとで17だったのかぁ、アイツ。 」
「かーちゃんに紹介できなかったな。自慢の『 』だって。」
「俺さ、月1くらいで会いに行くから。それなら寂しくないよな」
「嫌いだよ、ずっと」
二度と戻らない体温も。
二度と見れないその仕草も。
二度と聞けない声も。
全部、大嫌いだ。