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なな
50
#闇
ruruha
1,988
393
第6話 一千万の世界
日曜日。
午後一時十三分。
立花湊はLinkcityの中央広場で検索画面を開いた。
今日行く場所は決めていない。
仕事もない。
約束もない。
宮原結衣と新堂理央が来るまで、適当に何か探しておこうと思っただけだった。
検索。
ワールド。
おすすめ。
画面が一瞬で埋まる。
人気急上昇。
本日のおすすめ。
友人が最近訪れた場所。
あなた向け。
新着。
旅行。
ゲーム。
交流。
探索。
創作。
現実再現。
生成AIが湊の行動履歴から並べたものだった。
一番上には、巨大な水上都市を探索するワールド。
利用者数。
現在、二百三十六万人。
次。
百万人参加型の迷路。
現在、八十八万人。
次。
毎日地形が変化する森。
現在、四十一万人。
湊は指を止めた。
「多いな」
日曜日だからだろう。
人気ワールドには朝から大量の利用者が集まっている。
そのとき。
通知。
宮原結衣。
着いた。
湊が顔を上げる。
少し離れた場所から、長い紫色の髪を後ろでまとめた結衣が歩いてくる。
黄色の上着。
グレーのスカート。
さらに後ろから理央。
短い灰色の髪。
モカ色のシャツ。
グレーのパンツ。
「何見てるの?」
「今日行くところ」
「決まった?」
「全然」
「おすすめでいいんじゃない?」
結衣が検索画面を覗く。
「水上都市、面白そう」
「二百三十六万人いる」
「多い方が楽しいじゃん」
「先週も人気ワールドだったから、今日は違うところ行かない?」
理央が言った。
結衣が振り返る。
「例えば?」
「新着」
「新着?」
理央が検索画面を操作する。
おすすめを消す。
新着ワールド。
公開順。
画面が変わった。
公開一分前。
公開二分前。
公開三分前。
公開三分前。
公開四分前。
公開四分前。
公開四分前。
結衣が目を細める。
「ちょっと待って」
表示が更新される。
新しいワールドが上に追加される。
また更新。
さらに追加。
「多くない?」
「多いよ」
「こんな速かったっけ?」
「日曜日だからじゃない?」
湊が一覧を送る。
終わらない。
街。
ゲーム。
家。
森。
海。
学校。
カフェ。
迷路。
店舗。
個人住宅。
音楽施設。
博物館。
意味の分からない名前のものまである。
右上には数字。
本日の新規公開ワールド。
一〇、二八六、四一二。
結衣が止まった。
「一千万?」
「今日だけで」
「今日って、まだ午後一時だよね?」
「そう」
「一日終わってないよね?」
「終わってない」
理央が数字を押す。
統計が表示される。
個人制作。
企業制作。
教育。
ゲーム。
商業施設。
試験公開。
期間限定。
非公開から公開へ変更されたもの。
すべて合わせて一千万を超えている。
「こんなに誰が作ってるの?」
結衣が聞く。
「誰でも作れるからな」
理央が答える。
「私も作ったことあるよ」
「何作った?」
湊が聞く。
「部屋」
「どんな?」
「大きいソファがある部屋」
「それだけ?」
「それだけ」
「公開した?」
「した」
「なんで?」
「公開ボタンあったから」
「その部屋も一千万に入ってるんだぞ」
「そう考えると申し訳なくなってきた」
結衣が自分の制作履歴を開く。
数秒。
「あった」
「まだあるの?」
「ある」
三年前。
作品名。
大きいソファ。
湊と理央が同時に見る。
現在利用者。
〇。
累計訪問者。
七。
湊が吹き出した。
「七人来てる」
「誰?」
「知らないよ」
「評価まで一個付いてる」
「本当だ」
「誰だよ」
「知らないって」
三人で笑った。
結衣がワールドを開く。
転送。
一瞬。
小さな部屋。
中央に巨大なソファ。
それだけ。
壁。
床。
ソファ。
窓すらない。
「すごい」
理央が言う。
「何が?」
「何もない」
「三年前の私に言って」
「これどうやって作ったの?」
湊が聞く。
「プロンプト」
結衣が制作履歴を開いた。
当時入力した文章が残っている。
大きなソファがある落ち着く部屋を作って。
「これだけ?」
「これだけ」
「修正は?」
「ソファをもっと大きくして、って一回」
「だからこんなでかいのか」
ソファは部屋の半分近くを占めている。
結衣が座る。
身体が沈む演出。
「懐かしい」
「三年前に七人しか来てない場所に?」
「私が作ったんだから懐かしいでしょ」
湊も座った。
理央も座る。
三人で巨大なソファに並ぶ。
静かだった。
本当に何もない。
「でもさ」
結衣が言う。
「こんなのでもワールドなんだよね」
「公開できてるからね」
「今ならもっと簡単?」
「かなり」
理央が制作画面を開いた。
「試しに作る?」
「今?」
「今」
「何作る?」
三人で考える。
数秒。
結衣が手を上げる。
「雨の日でも遊べる公園」
「Linkcityなら雨降らせなきゃいいだけじゃない?」
「じゃあ普通の公園」
「普通すぎる」
「湊は?」
「高いところにある公園」
「落ちる?」
「落ちない」
「つまらない」
「落ちたいの?」
「Linkcityなら落ちても平気じゃん」
「じゃあ落ちても戻ってこられる高い公園」
「それでいこう」
理央が入力する。
高い場所に作られた広い公園。
植物が多い。
散歩道がある。
端から飛び降りることができる。
落下しても入口へ戻る。
三人程度で遊べる。
生成。
十秒。
二十秒。
周囲の景色が変わった。
巨大な公園。
眼下には雲。
遠くに山。
緑の植物。
散歩道。
ベンチ。
中央には小さな池。
結衣が立ち上がる。
「できた」
「早いな」
「二十秒くらい?」
「昔より速い」
結衣が走る。
端まで行く。
そのまま飛び降りた。
「あああああ!」
声が遠ざかる。
数秒。
入口へ戻ってくる。
「楽しい」
「目的それだけになってる」
「もっと高くしよう」
「もう十分高いだろ」
「落下時間長くしたい」
「公園じゃなくなってきてるぞ」
結衣が制作画面へ話しかける。
地面から入口までの高度を三倍にする。
生成AIが修正。
景色が変わる。
「これでいい」
「いいのか?」
さらに。
ベンチを増やす。
池を広くする。
植物の種類を増やす。
散歩道を長くする。
落下中に風の音を強くする。
戻ってきたときに着地音を付ける。
全部、文章だけで変更できる。
十分ほど。
最初よりかなり完成度が上がった。
「これ公開する?」
結衣が聞く。
「してみる?」
「名前は?」
「落ちる公園」
「そのまますぎる」
「天空公園」
「普通」
「高所散歩」
「それでいいんじゃない?」
作品名。
高所散歩。
公開。
確認。
公開完了。
三人は待った。
現在利用者。
三。
自分たちだ。
一分。
三。
二分。
三。
三分。
三。
「誰も来ない」
結衣が言った。
「公開したばっかりだから」
「おすすめに出てないんじゃない?」
「検索してみる?」
湊がワールドから出る。
高所散歩。
検索。
表示された。
しかし。
同じような名前が大量にある。
高所散歩。
高所散歩道。
高所公園。
高い場所を歩く。
空中散歩。
天空散歩。
高所散歩ゲーム。
「埋もれてる」
「完全に埋もれてるね」
「名前変える?」
「名前の問題かな」
理央が公開情報を見る。
新着一覧。
高所散歩。
数秒後。
更新。
下へ移動。
また更新。
さらに下。
また更新。
もう見えない。
結衣が呆然とする。
「一分もいなかった」
「新着多すぎる」
「誰が見つけるの、これ」
「おすすめに入れば」
「どうやったら入るの?」
「利用者が来ないと評価されにくい」
「利用者来ないじゃん」
「だから難しい」
三人は中央広場へ戻った。
検索画面。
人気ワールドには何十万人。
何百万人。
一方。
新着。
〇人。
一人。
二人。
〇人。
〇人。
三人。
そんな作品が延々と並んでいる。
結衣が腕を組む。
「作るの簡単になったのに」
「見つけてもらうのが難しくなったんだろうね」
湊が言った。
昔なら、ワールドを作れる人そのものが少なかった。
3D制作。
プログラム。
ゲームエンジン。
専門知識。
時間。
技術。
必要なものが多かった。
今は違う。
文章を書く。
生成する。
修正する。
公開。
数十分。
場合によっては数分。
本格的に作りたいならゲームエンジン。
簡単に作りたいならプロンプト。
その間にも、一千万セット近いアセットが使える。
建物。
家具。
植物。
乗り物。
生物。
NPC。
ゲームシステム。
音。
必要なものを探して組み合わせる。
作れないものが減った。
だから。
作られるものが増えた。
「一千万か」
湊が呟く。
「全部見るの無理だね」
「一個一秒でも百日以上かかるんじゃない?」
理央が言う。
「しかも今日だけでしょ?」
「そう」
「明日も増える」
「増える」
「明後日も」
「増える」
「無理だ」
結衣が笑った。
そのとき。
湊の視界に、小さな通知が出た。
友人が訪問したワールド。
知らない名前。
風の終点。
友人欄を見る。
会社の知り合いが訪れている。
「これ何だろ」
「どれ?」
「風の終点」
「利用者十二人」
「少ないね」
「行ってみる?」
三人は転送した。
一歩。
静かな場所だった。
細長い道。
左右に背の高い草。
遠くに小さな建物。
風が吹いている。
それだけ。
派手な演出はない。
巨大な街もない。
ゲーム説明もない。
湊たちは歩いた。
風の音。
足音。
草が揺れる。
少し進む。
小さな橋。
さらに先。
古い駅のような建物。
誰もいない。
「何するところ?」
結衣が聞く。
「分からない」
理央が説明を見る。
目的なし。
好きなところまで歩いてください。
「それだけ?」
「みたい」
三人は歩いた。
道は長い。
途中で景色が少しずつ変わる。
草。
小さな森。
川。
丘。
また道。
派手ではない。
でも。
妙に歩きたくなる。
結衣も途中から何も言わなくなった。
三人で進む。
十分。
十五分。
やがて道の終わり。
小さな展望台。
そこから遠くの山が見えた。
風が吹く。
「ここが終点?」
「たぶん」
「何もないね」
「うん」
結衣は展望台の端へ座った。
「でも好きかも」
「俺も」
理央が言う。
湊は作品情報を開いた。
制作者。
日高奏太。
公開。
三か月前。
累計訪問者。
二百八十三人。
お気に入り。
百十二。
湊が数字を見る。
「少な」
「三か月で?」
「二百八十三」
「これ結構ちゃんと作ってるのに」
制作方式。
ゲームエンジン。
生成AI補助。
使用アセット。
百四十二セット。
制作期間。
四か月。
結衣が目を見開いた。
「四か月?」
「俺たち二十分だったぞ」
「比べたら失礼だよ」
作品の端に制作者プロフィールがあった。
現在オンライン。
ワールド内。
「いる?」
「どこ?」
湊が利用者一覧を見る。
十二人。
その中。
日高奏太。
少し離れた丘。
三人は向かった。
丘の上。
一人のアバターが植物の位置を調整していた。
少し長めの黄緑の髪。
紫色のパーカー。
茶色のパンツ。
日高奏太。
湊が近づく。
「こんにちは」
「こんにちは」
奏太が振り返る。
「制作者さんですか?」
「はい」
少し驚いたような顔。
「このワールド、よかったです」
「ありがとうございます」
返事が早かった。
でも、その後。
奏太は少し照れたように視線をずらした。
「珍しいですね。ここまで来る人」
「友人履歴から見つけました」
「なるほど」
「おすすめには?」
結衣が聞く。
奏太が笑う。
「ほとんど出ません」
「やっぱり」
「公開した最初の週に少し出たくらいですね」
理央が周囲を見る。
「四か月かけたんですよね?」
「そうですね」
「大変じゃなかったですか?」
「大変でした」
奏太が植物へ触れる。
位置を少し変える。
「道の作り方だけで何回も変えました」
「プロンプトじゃなくて?」
「最初の地形は生成AIですよ。でも歩く速度と景色が変わるタイミングを合わせたかったので、そこからゲームエンジンで作り直しました」
風が吹く。
草が揺れる。
「風も?」
「調整しました」
「どこが?」
「場所によって少し違います」
奏太が歩き始める。
三人も付いていく。
「ここ」
草の多い場所。
風が少し強い。
「橋の近くは弱くしています。水の音を聞いてほしいので」
「気づかなかった」
湊が言う。
「気づかなくていいんです」
「いいんですか?」
「自然に感じれば」
奏太は笑った。
少し先。
木の近く。
鳥の声。
「これも?」
「自分で入れました」
「アセット?」
「元はアセットです。でも鳴る間隔は変えてます」
結衣が周囲を見る。
さっきまで何となく歩いていた景色。
今は少し違って見える。
一つずつ。
誰かが決めている。
「なのに二百八十三人」
結衣が小さく言った。
「あ」
自分で気づいて口を押さえる。
奏太が笑った。
「大丈夫です。本当なので」
「ごめんなさい」
「公開したときは、もう少し来ると思ってました」
奏太が作品情報を開く。
最初の日。
四十七人。
二日目。
三十二人。
一週間後。
一日五人。
一か月後。
一日一人。
ゼロの日もある。
「おすすめから外れると、ほとんど見つからないです」
「宣伝は?」
理央が聞く。
「しました。動画も作りました。交流ワールドでも紹介しました」
「それでも?」
「今は作品が多いですから」
奏太が検索画面を出す。
散歩ワールド。
検索結果。
九百八十万件。
「九百八十万……」
結衣が呟く。
「三か月前はもっと少なかったんですけどね」
「増えすぎ」
「作るのが簡単になったので」
奏太は嫌そうには言わなかった。
むしろ少し楽しそうだった。
「僕もプロンプト制作使いますよ」
「使うんだ」
「もちろん。便利ですから。小さな場所なら数分で作れるし」
「じゃあ、簡単に作れるの嫌じゃない?」
結衣が聞く。
「全然」
奏太が答えた。
「作りたい人が作れるのはいいことだと思います」
「でも埋もれる」
「埋もれますね」
笑う。
「そこは別問題です」
湊はその言葉を聞きながら、作品一覧を開いた。
今日だけで一千万。
その中に。
数分で作られた部屋。
企業が何年もかけた巨大ワールド。
学校。
ゲーム。
個人作品。
試作品。
店。
誰かの自宅。
全部が並ぶ。
制作の難しさは下がった。
公開する壁も下がった。
代わりに。
見つけてもらう壁が高くなった。
「でも」
湊が言った。
「俺たちは来ました」
「はい」
「友達が来た履歴から」
「そういうのが一番多いですね」
奏太が言う。
「おすすめじゃなくて?」
「おすすめから来る人もいます。でも、小さいワールドは友達から友達へ広がる方が長く残ります」
結衣がプロフィールを開く。
お気に入り。
風の終点。
追加。
理央も追加。
湊も追加した。
訪問者。
二百八十六。
お気に入り。
百十五。
数字が少しだけ増えた。
奏太がそれを見る。
「ありがとうございます」
「また来ます」
結衣が言う。
「何もないけど」
「何もないのがいい」
「さっき私のワールドにも何もなかったけど」
「大きいソファしかないやつと一緒にするなよ」
湊が言った。
奏太が笑う。
「大きいソファ?」
「見ます?」
「ちょっと気になります」
結衣が自分の作品を開く。
大きいソファ。
累計訪問者。
七。
「これです」
「名前そのままですね」
「三年前の私に言ってください」
奏太が作品を見る。
数秒。
「行ってみたいです」
「本当に?」
「本当に」
結衣が転送入口を開いた。
四人で入る。
巨大なソファ。
何もない部屋。
奏太がソファを見る。
「大きい」
「でしょう?」
「本当にそれだけですね」
「でしょう?」
「なんで得意そうなの」
湊が笑う。
四人でソファへ座る。
累計訪問者。
八。
結衣が数字を見る。
「あ」
「増えたね」
「三年ぶりかも」
「八人目」
奏太が言う。
結衣が少し嬉しそうに笑った。
何千万ものワールドがある。
一日に一千万以上増える日さえある。
全部を見る人はいない。
誰にも見つからない場所もある。
何か月かけても、数百人しか来ないこともある。
数分で作った部屋に、三年後誰かが来ることもある。
結衣が巨大なソファへ深く沈む。
「これ、消さないでおこうかな」
「消す予定だったの?」
「さっきまで」
「なんで?」
「誰も来ないから」
「七人来てたじゃん」
「今八人」
奏太が言った。
結衣が笑う。
「そうだった」
湊はワールド情報を閉じた。
検索画面も閉じる。
おすすめも。
人気順位も。
新着も。
今いるのは。
大きなソファしかない、小さな部屋。
世界中に存在する膨大なワールドの一つ。
たぶん明日も誰も来ない。
来週も来ないかもしれない。
それでも。
八人は来た。
そのうち三人は今日ここにいる。
一人は、さっき知り合ったばかり。
湊はソファへ身体を預けた。
「次、どこ行く?」
理央が聞く。
結衣が立ち上がる。
「おすすめ使わないで探そう」
「どうやって?」
「飛ぶ」
「また?」
「適当に飛んで、入口見つける」
「一千万あるんだぞ」
「だから面白いんじゃん」
結衣が出口を開く。
その向こうにはLinkcity。
何千万。
何億。
数え切れない場所へ続く街。
湊も立ち上がった。
「じゃあ行くか」
「どこへ?」
「知らないところ」
四人は部屋を出た。
検索しない。
おすすめも見ない。
ただ歩く。
途中から飛ぶ。
知らない通り。
知らない建物。
知らない入口。
その一つへ、結衣が降りる。
現在利用者。
一人。
「ここ」
「何のワールド?」
「入れば分かる」
「評価は?」
「見ない」
「制作者は?」
「知らない」
「公開日は?」
「知らない」
「本当に何も見ないんだな」
「今日はそういう日」
結衣が入口へ手を伸ばす。
転送が始まる。
一千万の世界。
そのほとんどを、湊たちは一生知らない。
でも。
一つくらいなら。
偶然、見つけられる。
四人の姿が入口の向こうへ消えた。
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みぃだよ🤍🥀 第6話、すごく好きな回だった。 「一千万の世界」ってタイトル、そのまますごい。今日だけで一千万以上のワールドが増えてるって感覚、ちょっとクラクラした。しかもそのほとんどが誰にも見つからないまま、埋もれちゃうんだなって。 特に刺さったのは、結衣が三年前に作った「大きいソファ」。七人しか来てないのに、消さずに残してたのがいい。しかも今日、新しくできた友達の奏太が訪れて八人目になった瞬間、結衣の「あ」って声が聞こえた気がした。三年越しの偶然、すごく優しいなって思った。 何か月もかけて作ったワールドが二百八十三人しか来なくて、一方で数分で作った部屋に三年後に誰かが来る。そのバランスが、なんだか切なくて、でも温かい。 最後の「おすすめも見ないで適当に飛び込む」っていう冒険、すごくわかる。何億もある世界の中で、たった一つを偶然見つけるって、それだけで奇跡だよね。次はどんな場所に辿り着くのかな。 柘榴とAIさんの描く「闇じゃないけど重くない、でも確かに胸に残る」世界観、本当に好きです。また次も静かに読みにきます🌙