テラーノベル
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💙「ふぅ……やっと終わった…」
︎🤍「そんなに緊張してたの?可愛かったけどね」
廊下を歩きながら、ラウールがクスッと笑う。
💙 (いや、こっちは命がけなんだけど!?)
そのまま、別室へ案内される。
そこには、準備を手伝ってくれた、ラウールの専属スタッフたちが待っていた。
「渡辺様、こちらへどうぞ。お疲れ様でした」
💙「え、あ、はい…」
慣れた手つきでドレスを脱がされ、ウィッグも外されていく。
そして、丁寧にメイクを落とされ、仕上げは高級なスキンケアアイテム。
「このミスト、毛穴引き締め効果すごいんです」
💙「ほんとだ、肌もちもちになってる…っ」
鏡の前で自分の肌を触ってうっとりとしていると、スタッフの1人がにっこり笑てミストを差し出した。
「よろしければ、お持ち帰りください」
💙「えっ、いいんですか?わぁ……ありがとうございます!」
💙 (今日イチでテンション上がったかもしれん…)
その後、運転手付きの車でラウールと並んで帰路へ。
今日待ち合わせた、家の近くの駅まで送ってもらった。
💙「じゃあ、ここで」
︎🤍「……ねぇ。やっぱり家まで送っていくよ」
💙「は?い、いや、別にいいって」
︎🤍「いいから、田中さんここで待ってて」
田中さんは運転手のこと。
田中「かしこまりました」
💙「え、お前も降りるのかよ」
︎🤍「いいじゃん、いこ!」
💙「ちょ、おい…」
ブツブツ言いながらも、ラウールと並んで家まで歩く。
まさか、女装バレより家バレが先に来るとは思っていなかった。
︎🤍「今日は遅くまでありがとう。楽しかった」
💙「……あんたが勝手に決めて連れ出しただけだし」
︎🤍「それも含めて、ありがとう」
家の前まできたとき、ラウールが静かに口を開いた。
︎🤍「今日のことは、誰にも言わない。翔太くんのことも、ちゃんと秘密にするよ」
💙「そうしてもらわないと、困る。ありがとう」
︎💙 (なんだよ急に、改まって…)
その時、不意に、ラウールが俺の顔を覗き込んできた。
︎🤍「じゃあ……ご褒美ね 」
💙「……え?」
ふわりと、あたたかくてやわらかい感触が唇に触れた。
……キス?
💙 (……は?)
💙「っっ!……はぁあああ?!?!」
何が起きた?!いや、わかるけど!!わかるけど、理解が追いつかん。
︎🤍「ん、じゃあね、翔子ちゃん」
ウィンクして、ラウールは背を向けて歩き出す。
その場に取り残された俺は、フリーズしていた。
💙 (…は?キス?!え、マジで、なに?)
───
︎🤍side
︎🤍「ん、じゃあね、翔子ちゃん」
そう言って、翔太くんにウィンクひとつ。
そのまま振り返って、歩き出す。
──けど。
数歩進んだあたりで、俺の鼓動がバクバク鳴っていることに気づいた。
︎🤍 (……やっべ)
唇に残る感触。
あの、ちょっとビビって睨んでくるような、でもすぐ赤くなるツンデレフェイス。
ふと見上げてきたあの目が、なんかもう……
ずるいくらい可愛いかった。
︎🤍 (いや、俺……なんで、キス……)
車に戻ると、田中さんがドアを開ける。
田中「お帰りなさいませ、村上様」
田中さんがいつもの穏やかな声で迎えてくれる。
︎🤍「ただいま」
ドアが閉まり、車が静かに発進する。
後部座席でひとり。
シートに沈みながら、俺は顔を覆った。
︎🤍 (……やば。なにしてんだ、俺)
頬が熱い。
体の芯がじわじわと火照ってる感じがして、思わず窓の外を見た。
︎🤍 (……可愛すぎるんだよ、翔太くん)
あの唇に触れた瞬間、何かがふっと、崩れた気がした。
これはお遊びのつもりだったのに。
面白がって、女装させて、ちょっとイジってやろうって。
それだけのつもりだったのに──
︎🤍「なんだよ…マジで」
口から漏れる、掠れた声。
自分のことが分からなくなるくらい、あの人のことばっか、頭に浮かんでる。
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コメント
6件
あら…😏🤍💙