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ドンドンドン
「ッ」
背中越しに玄関の扉を叩く音が響くとびくりと身体が跳ねた。
返事をせずにさっきよりもきつく自分の身体を抱いて縮こまる。
ああ、私はまた同じことを繰り返してしまうのか。
涙の跡を拭って、この扉を開ける。そこには彼が立っていて、「ごめんね」と謝る彼に「もういいよ」なんて答えて、まるで何事もなかったように、背中に回される彼の腕に身を委ねる。
そんな自分には戻りたくないのに。
もうこれ以上傷つきたくないのに。
「綾瀬さん」
「ッ」
……ああ、そっか。これが答えだ。
扉を叩いた相手が彼ではなかった。
その事実にはぁと深い息を吐いて確かに安堵したのに
彼は私を追いかけて来てはくれなかった。
その現実が苦しいくらいに胸を締め付ける。
自分の中にある対照的な想いを、ドア越しの中条太一には知られたくなくて必死に嗚咽を押し殺す。
「……ここを開けてください」*******************
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