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#オリジナルストーリー
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「さて、相談というのはイヴィル君。君さえ良ければ僕と手合わせをしないかい?」
目の前にいる金髪の男……ギルド長のリーンは俺にそう提案してきた。
「ほぅ……?」
リーンは『月と魔法は踊る』において最強と言われている。
そんな、王国内最強との手合わせか。
おそらく退屈はしないだろう。
しかし、
「それを受けて、俺に何かメリットがあるんだ?」
時間は有限だ。
今は学びに集中したい。
その積み重ねが将来の俺が無様に死ぬ確率を下げるから。
「メリットか……僕だって多少のことは教えられる。モリアから聞いているけれど、君の得意武器は大鎌だよね?」
「そうだが?」
「それなら、教えながらやるのはどう?? あ、もちろんそれだけじゃなくて、イヴィル君が何か困った時は力になるよ? これでも僕、顔は広いんだ」
「それは心強い」
実際に使うかは置いておいて、コネクションはあることに越したことはない。
とはいえ、こいつはゲーム本編ではやたらと『月と魔法は踊るの主人公』に肩入れする。
故にその言葉は本気で捉えるつもりはない。
「それに……今の君はすごくワクワクした顔をしているじゃないか」
「くっくっく……そう見えるか? それなら申し訳ない。はしたない真似をしてしまったようだ」
やはり、本音が邪魔をする。
自分の今の実力を可視化できるチャンスなのだ
時間はないが……本音に抗うことは年を重ねても未だに難しい。
「あと、大怪我はさせない。これは絶対約束するよ」
「そいつはお気遣い頂いているな」
最強だか何だか知らないが舐められるは癪だ。
それが今の実力を可視化できるチャンスだとしても。
「それじゃあ……始めようか。僕は事前に武器を用意してきたんだ」
そう言って、木製の大鎌を持ってくる。
「イヴィル君は好きな武器を使っていいよ」
「そうか……それならお言葉に甘えさせてもらおう……『死神の鎌』」
俺は闇の魔法を大量に展開させた後
「ははは……! さすがモリアが規格外というだけあるね!」
リーンは楽しそうに笑う。
リーンがモリアに対して何を言ったのか知ったことではない。
だが悪いが俺はまだまだ成長する。
「それを判断するにはまだ早いだろ??」
ついでに言うと刃は潰してある。
魔力のコントールをしていたら、いつの間にか死神の鎌の細かい調整ができるようになっていた。
「それもそうか。それじゃあ僕も……付与魔法付与魔法《エンチャント》」
リーンは黄色の魔法陣を展開して、木製の大鎌に魔法を纏わせる。
「雷か……」
「そうそう。よく分かったね。僕は雷の魔法が得意なんだ。」
「……お喋りなやつだな。わざわざ自分の情報をペラペラ言うのはどうかと思うぞ?」
「気に障ったらごめんね。それに別に隠している訳じゃないよ? 僕って雷轟のリーンって言われているからさ」
「そいつは大層な名前だな」
「同感。僕も大層な名前だと思うよ」
じゃあ自分で名乗るなよ。
俺はそう思いつつ、
「それじゃあ行くぞ」
武器を構える。
「うん。いつでもいいよ」
俺は足元に闇属性の魔法陣を展開して接敵する。
死神の鎌と雷を纏った木製の大鎌の柄が当たる。
木製の大鎌は砕けることなく、俺の攻撃をしっかりと受け止める。
「ほぉ……」
俺は一度離れる。
たった一度の接触。
それだけで、このリーンという男が並の生き物ではないことが理解できた。
A級ダンジョンにいたマッシブゴーレムや隠しクエストのボスモンスター、レッドドラゴンよりも脅威度は高い。
これなら十分楽しめそうだ。
「良い攻撃だね」
リーンは楽しそうに言う。
「そりゃあどうも」
褒めるという行為は格下に向けての発言だ。
そんなやつには目にも見せてやろう。
「それじゃあ、今度は僕から行くね!」
リーンは瞬間的に加速する。
音を置き去りにして俺との距離を詰めてくる。
「そいっ!」
リーンは大鎌を大剣のように振るう。
それに対して、俺は無意識にダークパリィを展開する。
攻撃を防ぐつもりだったが、どこか嫌な予勘がした。
「くっ……!」
その勘に従って、俺は死神の鎌でリーンの攻撃を受けつつ少し宙を舞って攻撃のベクトルに従う。
リーンの攻撃は重たい一撃だった。
木製ではあるが鉄よりも危険だと感じた。
「すごいね!! よく耐えたね!!」
「なにがすごいだ。危うく大怪我するところだったぞ」
「でも、君ならやってくれると信じてた。モリアの報告でダークパリィの防御がすごいって聞いてたんだ。ダークパリィは格下の魔法に大してはすごく有能だからね。だから今回は僕が知っている格下なりの戦い方を教えたまでだよ」
「格下ね……」
俺はリーンの言葉を返す。
まるでリーン自身が格下であると言わんばかりの言い方に苛立ちを感じる。
「と言っても仕組みは単純だよ? 防がれるって分かっているなら、上から叩きのめすのもまた手じゃない?」
「一理あるな……!」
あまりにも脳筋すぎる考えただが、時に大胆な考えも必要だ。
「じゃあもう一発いくよ」
リーンはそう言って木製の大鎌を構える。
考えろ。俺が成すべきことを。
まず光は質力を持っている。
故に、魔法を実体化させている死神の鎌であれば、逸らすことは可能なはずだ。
「ダークパリィ!」
俺は死神の鎌にダークパリィを重ね掛けする。
リーンの攻撃に合わせて、大鎌でリーンの攻撃の向きを変える。
その後、パリィをした時の力の流れを腰の回転運動と共に伝えながら大きく振るう。
その際に死神の鎌から闇魔法を射出して勢いを高める。
「さっき、モリアから教えて貰ったことをちゃんと活かせてるなんて……イヴィル君! 君はすごいよ!!」
「そいつはどうも!!」
それだけで終わるつもりがない。
俺はリーンに習って、自分の右脚に闇魔法を纏わせる。
大きく右腕を振って右ミドルを蹴る。
ついでに足裏から闇魔法を爆発させて、放った蹴りを瞬間的に超加速させる。
「くっ……!!」
肩を入れて、腰を大きく入れたミドルは重たい一撃となり左腕を叩く。
リーンは身体をくの字にして、3メートルほど吹き飛んだ。
「さすがに飲み込みが早すぎじゃないかな?」
「そういうお前は効いてなさそうじゃないか!」
俺は攻撃の手を緩めない。
あぁ、楽しい。
さすが、王国最強と言われるだけはある。
「やっぱり、良い攻撃だね」
「そんなんで終わりだと思わないでほしいんだか?」
俺は闇魔法を展開する。
「ダークニードル」
俺は適当な場所に闇魔法で作った棘を多数配置する。
「へぇ……面白いことするね。まさかその棘で僕の魔法を吸うとはね。やっぱり僕たちは闇魔法を侮りすぎていたかもしれないね」
リーンはそんなことを言うけれど、別にこれは闇魔法の効果ではない。
雷は高い物体に集約する性質がある。
逆に言い換えれば、突起をセットすれば自然と雷はその突起に向かって放出される。
雷を纏う量が決まっているならば、放出する分だけ弱体化する。
避雷針様々ってことだ。
「まだまだ続けようぜ」
俺は攻撃を繰り出す。
モリアに教えて貰った防御と、闇魔法を纏っての攻防一体の剣撃を振るう。
攻撃を防ぎ防がれその繰り返し。
攻撃をされる度に……攻撃をする度に刹那の時間で先の手、さらに先の手を考える。
身体じゃだけじゃなくて脳をフル活用している感覚にコンマ0秒単位で生を実感する。
「楽しいなぁ!! 王国最強!!」
「ははは……いいね。僕も楽しいよ。だけど」
リーンは俺の死神の鎌と木製の大鎌の柄を滑らせた後、
「よっ……と」
俺はリーンの攻撃を防御しようとしたところに、リーンはテコを使って俺の死神の鎌を引き剥がす。
「なっ……!」
「大鎌はテコを使えば簡単に相手の武器を取ることができる。ただ刈るだけが全てではないんだよ?」
そう言って、木製の大鎌を俺の首元に向ける。
「ちょっと休憩しようか」
「なん……だと……?」
今、俺は情けをかけられたのか?
屈辱だ……!
「しかし……このザマではな」
こうして一本取れれたのも事実。
正直に言えば悔しい。
今、俺がいる立ち位置は圧倒的な頂点ではない。
言い換えをするならば、何かに脅かされる可能性があるのだ。
これから、やるべきことは増えていく。同時に焦りも生まれていく。
「このザマ? いやいや、僕とここまで遊べた人は君が初めてだよ? もっと誇るべきだ」
「だからなんだ? 今の俺にお前を倒せるという確証はない。それは事実だろう? だから次は負けない」
俺は悪態に近い言葉を吐く。
悔しいが今はリーンに勝てない。
だが次は負けない。最強だかなんだか知らないが負けという言葉は好きじゃない。
経営の世界なら『敗北』とは『死』そのものなのだ。
「僕だって馬鹿じゃない。君は魔法を攻撃として使わなかった。君は明らかに魔法の方が得意だってことは見ればすぐに分かるよ。もしもイヴィル君が魔法を使っていたら、土に膝を付けていたのは僕だったかもしれない。だから……今後も僕が教えるよ」
「は?」
俺はリーンが何を言っているか理解できなかった。
「忘れたかい? これは手合わせだよ。生死を争う対決じゃない」
リーンは諭すように言う。
「僕は君に興味があるんだ。遠くない将来……人類を任せられる人材を僕は育てたいんだ。なんだかんだ言って、君なら守ってくれると信じている」
「俺が? はっ……! いくらなんでも買いかぶりすぎだ」
「どうだろう? 僕の勘は良く当たるんだ」
「それなら……いつか後悔させてやる」
「うん。その時を待ってるよ」
まるでリーンは俺を子を見るような親の表情をする。
近い将来、必ず『月と魔法は踊る』の主人公と邂逅する。
その時にはきっと、俺とリーンは敵同士になっているかもしれない。
「イヴィル様。調子の方いかがですか?」
そんなことを思っていたら、後ろから声をかけられる。
「フラムか……見ての通りだが」
フラムの問いに俺は肩をすくめる。
そんな俺の態度にフラムは不思議そうな顔をする。
「おや?? むしかしてフラム!? こんなところで会えると思ってなかったよ! 元気だった??」
リーンは嬉しそうに大きく両手を広げて言う。
「お久しぶりです……。5年振りですね。それとモリアも」
「あぁ……久しぶりだな、モリア」
対してフラムは困った顔をしている。
どうやら、フラムとリーンは旧知の仲らしい。
「ふむ……フラムは知り合いか?」
「えぇ……リーンとモリアは私が現役だった時代に一緒に依頼をこなしてました。とはいえ、リーンのおかげで私は自分はあくまで凡人だと嫌になるくらい教わりましたが」
ほぉ?? フラムにそこまで言わせるのか。
やはり敵対する時はそれなりの覚悟が必要か。
「ふむ……フラムが凡人か。それだとほとんどの人間がゴミに成り下がってしまうな」
「そうだね。僕もイヴィル君と同じ意見だよ。君は間違いなく優秀じゃないか」
「ははは……貴方達に言われても……。はぁ……誉め言葉として受け取られせて頂きますよ」
何故か溜息を吐かれた。
「話を戻すけど、剣の防御術はモリアから。魔法のことはフラムに。そして実戦では僕に任してよ。将来、君を絶対誰にも負けない。そのうち僕だって抜かされちゃうだろうからさ」
リーンは楽しそうに言う。
俺は何故リーンが楽しそうに言うのか理解できない。
「あれ?? 俺もやるんですか??」
「私も自然に入っているのですね……私はお仕事なのでやらして頂きますが」
フラムとモリアはリーンの言葉に苦笑いをしている。
「ですが、公爵様の許可を取らないといけませんね」
「あぁ!! たしかに! イヴィル君!! ちゃんと許可とってくるよ!」
リーンは慌てたような顔をする。
「ちょっと行ってくる……! だから、今後ともよろしくね!」
どうやら拒否権はないみたいだ。
たしかに、俺にも自惚れるところがあったみたいだ。
幸か不幸か、強くなるための環境はあるらしい。
次は必ず……二度と負けることはないと心に誓うのであった。