2022 .12 .24
千晶 「 明日 、 クリスマスだな 。 」
イルミネーションを見上げた先で 、
君が笑った気がした 。
2021 .12 .24
紗雪 「 ねぇねぇ 」
千晶 「 ん ? 」
紗雪 「 明日 、 クリスマスだね っ !! 」
千晶 「 そうだな 。 」
紗雪 「 ねぇ 、 もし私が消えたら 、 、 やだ ? 」
首をコテってして見つめてくる
そんな君は何処か淋しそうだった 。
千晶 「 不吉だな 、 すっげぇ嫌だけど 」
きっと生きていけない
紗雪 「 ふふ っ 」
千晶 「 なんかあった ? 」
紗雪 「 ん ~ ん 、 ちょっと聞いてみただけ 」
イルミネーションの下 、
君は楽しそうに歩いていた 。
紗雪 「 あのね 、 千晶 。 」
『 ず っ と 大 好 き だ か ら 。 』
紗雪 「 明日も明後日もずっと 、 ね 。 」
千晶 「 俺は明日も明後日もずっと愛してる 」
千晶 「 じゃ 、 またな 。 」
紗雪 「 ばいばいのキスして 。 」
相変わらずのデレデレ
これから先も変わらない 、 そう思っていた 。
千晶 「 、っ 」
紗雪 「 へへ 、 ばいばい っ 」
千晶 「 明日な っ !! 」
これが君との最期だった 。
紗雪 「 ごめんね 、 さよなら 。 」
速報です 。
先程 、 東京都港区にある六本木ヒルズ前で
交通事故がありました 。
女子高生が1人巻き込まれたのことです 。
警察によりますと 、
12月25日午後6時20分頃
通行人から「 女の子が轢かれた 」などと
通報がありました 。
新しく情報が入りました 。
この事故で 、 横断歩道を渡っていた
早瀬 紗雪 さん 、 16歳
が意識の無い状態で病院に運ばれ 、
その後 、 死亡が確認されました 。
警察は女子高生が自ら飛び出した可能性が
あると見て当時の状況を詳しく調べています 。
千晶 「 さ 、 ゆき 、 ? 」
ただいま電話に出ることが出来ません 。
何度掛けても繋がらないスマホを
コンクリートに叩きつけた 。
バキバキに割れるスマホ
そんな事すらムカついて 、 踏みつけて 、
それでも収まらない気持ちは
結局行き場を失ったままだった
昨日 、 君は聞いてきた 。
『 ねぇ 、 もし私が消えたら 、 、 やだ ? 』
嫌だ 。
そう答えたのに君は消えていった 。
1人で何処か遠くに消えてしまった 。
元々返事など 、 どうでもよかったかのように 、
『 明日な っ !! 』
その返事は無かった 、
後日 、 医者から聞いた 。
彼女は手に紙を握っていた 、 と
その紙切れには文字が書いてあった
千晶へ
急にいなくなった事 、 ごめんなさい 。
どうか許してね 、 笑
私は自殺したって聞いてるのかな 、
私ね 、 病気だったの 。
産まれた頃から余命16年って 、
ごめんね 、 千晶には病気のこと知られたくなくて
それで事故で死んだ事にした
本当の死因は病気なのにね 、 笑
でもさ 、 嘘つきのままは嫌だから
ここで言わせてね 。
千晶 、 ずっとずっと愛してる 。
紗雪より
愛してる
その文字は濡れた跡が残って滲んでいた
紗雪は俺に涙なんか滅多に見せなくて
いつでも笑ってた
あの笑顔の裏で大きな病気を抱えてた
それも
たった1人で 、 。
でも俺が君に謝ったらきっと怒るんだ
だから君の分まで生きていきたい 。
そう思った
2022 .12 .24
君がいなくなって1年が経つ 。
早いようで遅くて 、 短いようで長い 、
そんな1年だった 。
君も空の上で俺と同じイルミネーションを
見てるだろうか 、
千晶 「 明日 、 クリスマスだな 。 」
1人で呟いた言葉は何処か淋しげだった 。
でも 、
イルミネーションを見上げた先で 、
君が笑った気がした 。
𝐹 𝑖 𝑛 .