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白子=脳みそ思ってた 😇
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かつて、若き日のカルドが東エンドア株式会社を崩壊へと追い込んだ。
その後、エンドアは長い年月をかけて復興を遂げていった。
戦乱によって荒廃した土地には再び人が集まり、交易が盛んになった。
やがてエンドアは、豊かな国へと成長していった。
そんな時代に、エンドア北方から一人の男が台頭してきた。
ジャラー・ウッディーン・ハルジー。
彼は、武力だけで国を支配することを望まなかった。
対立していた貴族たちには融和策を取り、敵対者にも一定の地位と権益を与えた。
その寛容さは、やがて彼自身の力となった。
少しずつ、彼を支持する者が増えていく。
そしてついに、ジャラー・ウッディーンはエンドアの王となった。
穏やかな王だった。
少なくとも、この時までは――。
即位して間もないある日。
北方より、恐るべき報せが届いた。
「モンゴリア軍が、国境を越えました!」
「敵将は?」
「アブドラーです!」
王宮に緊張が走った。
「兵力は?」
ジャラー・ウッディーンが尋ねる。
伝令は、震える声で答えた。
「……十五万を越えます」
誰もが息を呑んだ。
敵は、モンゴリア帝国チャガタイ・ハン国。
その大軍が、エンドアへ向けて進軍を開始したのである。
王となったばかりのジャラー・ウッディーン。
彼に与えられた最初の試練は――
かつてない規模の侵略戦争だった。
ジャラー・ウッディーンは、自ら軍を率いて出陣した。
そして両軍は、バラムの地で激突した。
先に動いたのは、モンゴリア軍だった。
大地を揺るがすような蹄の音。
無数の騎馬兵が、一斉にエンドア軍へ襲い掛かった。
まるで疾風だった。
弓を射ながら駆け抜け、隊列を崩し、側面へ回り込む。
その攻撃は凄まじかった。
だが――エンドア軍は崩れなかった。
倒れても、後ろから次の兵が前へ出る。
盾を並べ、槍を構え、押し寄せる騎馬を必死に食い止める。
幾度となくモンゴリア軍が突撃し、そのたびにエンドア軍は耐えた。
そして、ついに。
モンゴリア軍の騎馬兵団が押し返された。
戦場には、無数の死体が横たわっていた。
血に染まった大地。
折れた槍。
泥に埋もれた旗。
さきほどまで轟いていた鬨の声も、いつしか遠のいていた。
両軍は、それ以上の戦闘を避けるように兵を引いた。
しかし、完全に退いたわけではない。
互いに距離を取りながら、向かい合う。
睨み合うように。
静寂が戦場を覆った。
その時だった。
モンゴリア軍の陣から、一騎の騎馬が進み出た。
エンドア軍の陣からも、一騎。
兵たちが息を呑む。
やがて二騎は、誰もいない戦場の中央へ向かって歩みを進めた。
一人は、モンゴリア軍総大将――アブドラー。
そして、もう一人は――
エンドア国王、ジャラー・ウッディーン。
二人の王が、血に染まった大地を挟んで向かい合った。
どちらの軍も、動かなかった。
ただ二人だけが、静かに互いを見つめていた。
二騎の距離が、ゆっくりと縮まっていく。
やがて、互いの顔を見分けられる距離まで近づいた。
しばしの沈黙。
先に口を開いたのは、ジャラー・ウッディーンだった。
「息子よ」
その声には、敵に向けるものとは思えぬ温かさがあった。
ジャラー・ウッディーンは、
年長者が歳若い若者を諭すように
優しいまなざしでアブドラを見つめていた。
アブドラは、何も答えなかった。
ただ、深く頭を下げる。
そして馬首を返した。
「全軍、撤退せよ!」
その命令とともに、モンゴリア軍は動き始めた。
戦場から、兵たちが次々と引いていく。
やがてエンドア軍の陣では、捕虜となっていたモンゴリア兵たちが解放された。
兵士たちは、困惑した顔で王を見つめる。
ジャラー・ウッディーンは、彼らに告げた。
「アルーの神を信じ、エンドアの民として生きるなら、命は助けよう」
解放された兵士たちは、しばらくその場に立ち尽くしていた。
やがて、一人。
また一人と、撤退していくモンゴリア軍の後を追って走り出した。
その光景を、少し離れた場所から見つめている男がいた。
ジャラー・ウッディーンの甥――アルー・ウッディーンである。
その表情には、苦々しさが浮かんでいた。
「叔父上は甘い」
低い声だった。
「甘すぎる」
傍らに付き従う男が、王を見つめる。
ザファール・カーンだった。
「どう思う?」
アルー・ウッディーンが尋ねる。
ザファール・カーンは、しばらく答えなかった。
そして、静かに言った。
「お優しいお方なのです」
「だからこそ、皆に慕われ、我々も勝つことができたのです」
アルー・ウッディーンは、納得のいかない顔を隠そうともせず、
黙って叔父の背中を見つめていた。
遠ざかっていくモンゴリア軍。
その背中を、王はいつまでも見送っていた。
アルー・ウッディーンは思った。
「あいつらは侵略者なのだ」
「殺して当然の者たちなのだ」
戦いが終わった後、一部のモンゴリア兵はエンドアに留まった。
彼らはアルーの神を信じる者となり、エンドアの民として生きることを選んだ。
王は、彼らを追放しなかった。
国の北方に土地を与え、そこに住むことを許した。
だが――それを快く思わない者も多かった。
エンドアは、半世紀にわたってモンゴリアの脅威にさらされ続けていた。
村を焼かれた者。
家族を失った者。
侵略の恐怖を、幼いころから身に刻まれてきた者。
彼らにとって、モンゴリア人は決して許せる存在ではなかった。
やがて王宮には、民衆からの声が押し寄せるようになった。
「奴らを処刑せよ!」
「なぜ敵を生かしておくのです!」
「我らの家族を殺した者たちを、なぜ許すのですか!」
その声は、日に日に大きくなった。
だが、ジャラー・ウッディーンは動かなかった。
「処刑はせぬ」
王は、ただ一言そう告げた。
どれほど激しい非難が上がろうとも、その決定を覆すことはなかった。
王は民衆の怒りを抑え、処刑を求める声を退け続けた。
慈悲と寛容。
それこそが、ジャラー・ウッディーンの治世の柱だった。
敵であった者にも、生きる道を与える。
憎しみの連鎖を断ち切る。
それによって、この国を一つにまとめようとしていた。
だが――。
その姿を、苦々しい表情で見つめる男がいた。
王の甥、アルー・ウッディーン。
彼には、叔父の姿が理解できなかった。
いや。
理解できないのではない。
理解しているからこそ、恐ろしかった。
――この王のままでは、いずれ国が滅びる。
アルー・ウッディーンは、そう考えるようになっていた。
だが――。
このとき彼は、まだ知らなかった。
自分が国を守るために、やがて皆が愛するこの王に、
自ら刃を突き立てることになるとは。
コメント
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もう第46話か…!タイトルからして重厚な話になりそうでワクワクしながら読んだよ〜!! ジャラー・ウッディーンの「慈悲と寛容」、敵だったアブドラにも「息子よ」って呼びかける優しさが沁みる…。 でもそれを甘いと見るアルー・ウッディーンの苦い視線が、後々の悲劇を予感させて切ないね。 この物語、歴史の重みと人間の業がひしひしと伝わってきて、次の展開が気になって仕方ないよ!!😭📖