「王都のはずれに、こんな綺麗なところがあったなんて……」
知らなかったわ、と続ける私に、彼は頷く。
「そうだろ?偶然見つけたが、綺麗なところだからお前にも見せたいと思って」
その言葉に、私は少し目を見開いた。
それは……。
私は彼に微笑む。
「あなたはお優しいですね」
今度は彼が目を見開いた。
「俺は……、優しくない」
「いいえ、お優しいです。だって、こんな綺麗な景色をひとりで独占せず、私に見せたいとお思いになったのでしょう?綺麗だからこそ見せたいと、そうお思いになったのでしょう?」
「それは……」
彼は、私から視線を逃れるように顔を背けていたが、しばらくすると、ふっと少し苦笑する。
そのほんの少しの笑みに、私の心臓が高鳴る。
それは、彼が私に見せてくれた、初めての笑みだった。
彼が笑っているところを初めて見たのだ。
「そう言ってくれるお前も優しいな」
私は驚いた。
今まで私を優しいと言ってくれる人はいなかったからだ。
私はかぶりを振る。
「いいえ、そんなことはありません」
「ほら、そう言うと思った」
私は少し俯きがちだった頭を彼の方に上げた。
彼は笑みを浮かべていた。
その笑顔に、胸が締め付けられる。
なんて晴れやかで綺麗な笑みなのだろう。
私も笑った。
「私たち、似たもの同士なのですね」
「ああ、そうだな」
彼は深く頷く。
それから少し歩いていたが、しばらくすると彼は立ち止まった。
「少し休憩するか」
「はい、ありがとうございます」
私は彼に頷き、私と彼は花畑に座り込む。
と、私の周りに枯れた花があった。
その花はすっかりしおれてしまい、もう一度咲くことはなさそうだった。
……私の治癒力だったら、もう一度咲かせられるかも。
私は手で花を優しく包むように囲み、治癒力を使う。
すると、私の手から淡い黄金色の光が放たれ、しばらくすると消えていった。
手を離れさせると……、花は咲いていた。
私は驚いた。
「まあ。この力、植物にも使えるのですね」
私の呟きに、彼は頷く。
「ああ、そうだな。生命体には治癒力は効く。……物には使えないが」
なるほど、つまり、命を持つものには効くと、そういうことだ。
それから私たちは、穏やかな時間を過ごした。
花冠を作って彼の頭に乗せたりした。
中性的な美貌と相まって、彼にはとても似合っていた。
数時間だけだったけれど、とても楽しかった。
コメント
1件
最後文章めちゃくちゃですが、気にしないでください涙