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第39話 秋新聞の植物線の発見
朝の新聞は、
まだ少しだけ、
紙が冷たかった。
一面すべてが、
大きな見出しで埋まっている。
植物線 発見
それだけで、
文字が押し合っている。
紙面の中央には、
発見者の名前。
メカニカル出身者 キボ
工場育ちの手。
節が目立つ指。
油を落としきった爪。
背は高くないが、
姿勢はまっすぐ。
服は機能重視で、
余計な装飾はない。
キボは、
農業の話をしていない。
石の反応。
空間の揺れ。
数字に出ない、ずれ。
だが、
記事は別の行を用意している。
農業への応用。
作物の安定。
収穫量の予測。
80スポット。
自然の多い場所。
理由は分からないが、
よく育つ土地。
そこに、
植物線という名前が、
与えられた。
新聞の端では、
別の人の手が写っている。
細かい紙を整える指。
印字のずれを直す目。
アジィアの職人。
秋の新聞は、
重たい。
期待と、
慎重さと、
まだ言葉にならない未来を、
全部載せている。
キボは、
紙面の外にいる。
いつも通り、
次の数式を見ている。
植物線は、
もうそこにある。
世界は、
それを知ったばかりだ。