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ベッドのすぐ横の窓から朝日が差し込み、視界にぼんやりと光が映り込んできた事に気付いた純は、ゆっくりと瞼を開いた。
身体を起こし、カーテンを少しだけ開く。
窓の外を見やると、昨晩、しんしんと降り続いていた雪は止み、抜けるような青空が広がっていた。
隣には、微かな寝息を立てながら恵菜が眠っている。
(そうだ。昨日は…………彼女からアプリでメッセージが届いて…………突然会って……落ち込んだ彼女の話を聞いて…………堪らず抱きしめただろ? その後……部屋に入れて…………告白して……抱きしめて……キスして…………一緒にベッドで寝て……)
ひとつ、またひとつ思い返すと、あまりにも無様だったな、と苦虫を噛み潰したような表情をさせた純。
まるで小学生レベル並みの記憶の辿り方に、額に掛かる前髪をワシャワシャと掻きむしった。
「ん…………ん? えっ……あっ…………うっ……うそっ……!?」
隣でモゾモゾと動いていた純に気付いたのか、恵菜は目覚めた後、寝ぼけ眼(まなこ)でボーっとしていたかと思ったら、突如、表情を変えて目を見張った。
「恵菜? 起きた?」
「おっ…………おはよう……ござい……ま…………す……純さ……ん……」
尻窄みに、辿々しく挨拶を返す恵菜が、ただひたすらに可愛い。
「おはよう、恵菜」
柔らかな頬に純がキスを振ると、彼女は照れているのか、顔を俯かせた。
「昨日の夜、あんなに雪が降ってたのに、今日はすげぇいい天気だよ。ベランダから外を見てみるか」
純はベッドから抜け出すと、恵菜に手を差し出し、小さな手が大きな掌に触れる。
手をグイっと引き寄せ、恵菜を抱きしめると、額に唇を落とす純。
(このままずっと…………恵菜を俺の腕の中に包み込んでいたいよな……)
彼女には、自分の気持ちが真っ新になった時に、純とお付き合いをしたいと言われたのを思い出し、彼は微苦笑しながら、短いため息をつく。
「俺の部屋は五階だし、見晴らしもいいと思うよ。さっそく見てみるか」
純は気を取り直して恵菜に笑い掛けると、恵菜の手をキュッと握り、寝室を後にした。