テラーノベル
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「今日は二人とも、私のために集まってくれて、本当にありがとう……」
テーブルに食後のデザートが運ばれてくると、美花は、奈美と奏に軽く会釈をする。
「豪さんが言ってたよ。『美花ちゃんが静岡に行っちゃうのは寂しくなるな……』て……」
「…………美花。あんたには、私と奈美が付いているんだからねっ! でもちょっと心配だなぁ……」
「大丈夫だよぉ。浜松から立川まで、新幹線に乗れば、すぐだし……」
奈美と奏に心許ない表情を向けられ、美花は眉根を下げながら何とか微笑んだ。
「仕事の事もそうなんだけどさ。お義兄さんに元カノの事を黙ったまま静岡に行くの、後悔しない?」
「…………」
目力の強い奏の眼差しに刺された美花は、肩をビクッと震わせると、二人から顔を逸らした。
「…………これで……いいんだよ」
美花は脱力したように苦笑すると、二人の親友が、彼女の胸の内を聞こうと注視している。
「やっぱり私は、人を好きになってはダメだったんだよ。でもね、圭ちゃんは私に『初めて』の事を、たくさん与えてくれた。それだけは…………すごく感謝してるんだっ。だから……」
奈美と奏の、痛くなるような視線を浴びせられている美花は、俯いた後、弾かれたように顔を上げ、親友たちに視線を返す。
「私は圭ちゃんに、言葉の代わりに、自作曲で感謝を伝える。今の私にできる事って…………これしか思いつかない」
「美花。あんたの言っている事、お義兄さんから逃げ──」
「逃げるのは卑怯だっていうのも、もちろん分かってるよ。けど正直、圭ちゃんと顔を合わせるのが…………キツいんだ。圭ちゃんの元恋人の影っていうの? それが常に後ろにいるのかと思うと…………怖い」
美花の言葉に、奏が戸惑いを滲ませた表情を映し出した。
「これ、美花に言っていいのか……すごく迷うんだけど……」
奏が口元を引き結び、顔を伏せた後、美花に視線を投げてきた。
「何? 奏…………何か知っているの?」
「うん。もしかしたら……だけど……」
奈美がおずおずと様子を伺うと、奏は苦渋を滲ませるように、唇を小さく震わせる。
「美花が会ったお義兄さんの元カノらしき人…………私……二回……見掛けているんだよね……」
恵
コメント
1件
読了しました。 美花が自分の気持ちを整理しながらも、圭ちゃんへの想いを自作曲で伝えようとする場面、胸がぎゅっとなりました。逃げてるって自分でも分かってて、それでも「顔を合わせるのがキツい」って本音を親友に打ち明けるの、すごくリアルで……。 奏が元カノらしき人を二回も見掛けてるって伏線、めっちゃ気になります! この先、どう転ぶんだろう……続きが待ち遠しいです🌙